コスト削減とは?実施手順や購買管理システムの活用法を解説
- コスト削減のためにコストの種類に関する理解
- コスト削減における課題
- コスト削減を実現するために利用できる施策
- サプライヤーとの関係性構築・維持
- 原価推計
- 集中購買(大量発注)
- VA/VE (Value Analysis/Value Engineering)
- 商流変更
- SRM (Supplier Relationship Management)
- ユーザーマネジメント
- リバースオークション
- 効果的なコスト削減アプローチ:4つの手順
- 購買システムに搭載されているコスト削減に役立つ機能
- コスト削減を実施する際の注意点
- コスト削減に効果を発揮する購買管理システムintra-mart Procurement Cloud(iPC)
- まとめ
従来の購買業務では、煩雑な手続きや情報管理の煩雑さ、サプライヤーとのコミュニケーション不足など、コストに関する課題が山積しています。
コスト削減に取り組むためには、課題の所在を明確にしたうえで、効果的な対策に取り組んでいかなければなりません。
本記事では、コスト削減に課題を感じられている購買部の担当者の方に向けて、コストの概要や削減への取り組み方を解説しています。
購買の現場で見られる具体的な課題やポイントをふまえて解説していますので、ぜひ参考にしてください。
コスト削減のためにコストの種類に関する理解
コスト削減に取り組む前には、具体的なコストについての詳細を理解する必要があります。
コストには「直接材」と「間接材」の2つに大別され、そのなかにもさまざまな項目が存在します。
費用の内訳は業界や企業の方針によって異なるため一概にはいえませんが、まずはどのような項目があるのかを理解することから始めてみましょう。
直接材
直接材とは、生産に直接かかわる資材のことであり、原材料費や物流費などが挙げられます。
商品=売上に直結するものとなるため、直接材のコストを削減するには、相応の工夫が必要です。
原材料費
材料費とは、製品の製造に関わる材料や部品にかかる費用のことを指しています。
変動費に分類され、製品の価格や販売量に影響を受けやすい項目の一つです。
品質を維持しつつ、より安価な材料の調達・廃棄ロスの削減を模索することがコスト削減のポイントとなるでしょう。
物流費
物流費とは、商品を目的地まで移動させるために必要な費用のことです。
運送・運搬などにかかる費用はもちろん、商品の包装や保管にかかる費用も物流費に含まれます。
こちらも変動費に分類され、販売量・輸送距離・燃料価格などの影響を受けます。
物流費のコストを削減するには、輸送ルートの最適化や共同配送の利用、倉庫の効率的な運用といった面を見直す必要があるでしょう。
間接材
間接材とは、生産に直接的なかかわりのない資材(直接材以外の消耗品や備品など)を指しています。
直接材に比べコスト削減を実践しやすい特徴があります。
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間接材とは?直接材との違いや例、調達・管理を最適化する方法を解説
オフィスコスト
オフィスコストとは、オフィスの設備関連としてかかる費用のことです。
具体的には以下の項目で費用が発生します。
- オフィスの賃料
- 水道光熱費
- 清掃費
- 備品代 (印刷・事務用品など)
IT機器関連コスト
IT機器関連コストとは、パソコン・タブレット・スマホ・サーバーといったIT機器の購入・保守・更新などにかかる費用のことです。
社内インフラの構築に欠かせないコストではあるものの、節約できればコスト削減にも大きく貢献できる可能性があります。
IT機器関連コストは、初期費用と運用コストに分類されます。
- 初期費用:端末や設備の代金・設置工事や初期設定の費用
- 運用コスト:月額利用料・オプション費用・保守メンテナンス費用
広告宣伝費
広告宣伝費とは、自社の製品やサービスの認知度向上・販売促進のために必要とする費用のことです。
広告媒体やキャンペーン内容によって費用は変動します。
折り込みチラシ・インターネット広告・キャンペーン費用など、広告費のなかにさまざまな媒体があります。
その他費用
上記の項目に含まれない費用として以下の費用が挙げられます。
- 保険・交際費
- 通信費(電話料金・携帯電話料金)
- 接待費
- 製品の原材料費
- 資材・梱包費
業種・業態によって費用項目が大きくことなります。
コスト削減における課題
本章では、コスト削減に取り組むうえで、企業が陥りがちな課題についてご紹介します。
従業員のモチベーション低下
コスト削減策のなかには、従業員の業務負担を増やしたり、働きやすさに反したりするものが考えられます。
一例として、オフィスで使用するイスのコストを削減するために安価なイスを購入した際に、座り心地の悪さを従業員が感じるケースがあります。
特に、従業員の声を聞くことなく一方的にコスト削減を推し進めたときにはモチベーションの低下を招きやすいため、注意が必要です。
長期的な視点の欠落
短期的なコスト削減に注力してしまうと、長期的な成長を阻害する恐れがあります。
たとえば、新商品開発の為に必要な設備投資をせずにいた結果、技術力で他社の遅れをとってしまうケースが考えられます。
経営戦略においては、長期的な視点でのコスト意識も重要です。
効果測定の難しさ
コスト削減策の効果を正確に測定することは容易ではありません。
特に間接的な効果や長期的な効果を測定することは困難な場合が多いです。
数値化が難しい項目に対してどのように評価すべきかをあらかじめ決定しておくことが重要です。
コスト削減を実現するために利用できる施策
コスト削減を実現するには、さまざまな施策を実践していかなくてはいけません。
本章にて、コスト削減を実現するために活用できる施策をご紹介します。
検証・実践・改善を繰り返し、効果的なコスト削減を実現していきましょう。
サプライヤーとの関係性構築・維持
コスト削減のためには、サプライヤーとの関係性構築・維持が不可欠です。
ただし、バイヤー側が一方的に値下げを強要するような関係性ではなく、互いに利益を感じられる関係性でいる状態が望ましいでしょう。
- Win-Winの関係性構築
- 情報共有の活性化
- 定期的な情報交換
- 共同改善活動
上記を実現するためには、購買担当者が日常的・継続的に関係性を築く必要があります。
原価推計
原価の内訳を分析することで、コスト削減の余地を特定し、効果的な対策を立案できます。
- 原価要素の分解:材料費・労務費・経費・など原価を構成する要素を分解して、項目ごとのコストを把握する
- コストドライバーの特定:コストに影響を与える要因を特定して、その影響度を下げる
- ベンチマークデータの活用:自社の原価情報を業界のベンチマークと比較する
- サプライヤーからの情報提供:原価情報やコスト削減のアイデアなどについてサプライヤーから積極的に情報収集する
集中購買(大量発注)
集中購買とは、事業所が複数ある場合であっても、社内の一箇所に購買管理業務を集中させる方法のことです。
複数の部署や拠点で共通して使用する物品をまとめて購入することで、スケールメリットを活かしたコスト削減を実現できます。
- ボリュームディスカウント
- 調達業務の効率化
- 在庫管理の最適化
- 在庫管理の推進
- 標準化の推進
集中購買を成功させるには、関係部署間の連携や情報共有が不可欠です。
データを効率的に処理したり管理したりするためには、購買管理システムを活用すると効果的です。
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集中購買のメリット・デメリットとは?分散購買と徹底比較
VA/VE (Value Analysis/Value Engineering)
VA/VEは、製品やサービスの価値を最大化しつつ、コストを最小化する手法です。
具体的には、以下の手法があります。
・機能分析:製品やサービスが持つ機能を洗い出してから機能の重要度やコストを評価する
・代替案の検討:既存の部品・材料・製造方法などをより低コストの代替案に置き換える
・サプライヤーの技術やノウハウの活用
VA/VEは、製品開発の初期段階から導入することが重要です。
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商流変更
商流とは流通過程の一つであり、商品取引時の所有権の流れを指しています。
より効率的な調達ルートを構築することで、コスト削減を実現できます。
- 中間業者の排除
- 新たなサプライヤーの開拓
- 電子商取引の活用
ただし、商流変更は、サプライヤーとの関係性や契約内容などを慎重に検討したうえで実施する必要があります。
SRM (Supplier Relationship Management)
SRMは、サプライヤーとの関係を戦略的に管理し、長期的なパートナーシップを構築するための手法です。
SRMでは、サプライヤーを単なる取引先ではなく、ビジネスパートナーとして捉え、協力関係を築くことを目的とします。
主な活動内容は以下のとおりです。
- サプライヤー評価:サプライヤーの品質・コスト・納期・技術力などを定期的に評価・改善点を共有
- 情報共有:製品開発や市場動向などの情報をサプライヤーと共有して、共同で課題解決や新製品開発を実施
- 共同改善活動:サプライヤーと協力してコスト削減や品質改善などの共同改善を実施
- サプライヤー開発:サプライヤーの能力向上を支援
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ユーザーマネジメント
ユーザーマネジメントとは、調達購買を実行する企業内の利用者や関係者との関係をマネジメントする手法のことです。
社内の各部門が必要とする物品やサービスの量と質を適切に管理することで、無駄な調達・購買を減らし、コスト削減につなげることができます。
- 各部門の調達・購買ニーズの把握
- 需要予測
- 適正在庫管理
- 代替品の検討
- 費用対効果分析
大きなコスト削減を実現するには、仕様や設計が固まる前の、開発の上流段階での検討・関与が必須です。
会社全体で取り組む姿勢を徹底させましょう。
リバースオークション
リバースオークションは、買い手企業が提示した条件に対して、複数のサプライヤーが価格を競り下げていく方式の入札です。
短時間で価格競争を促し、コスト削減効果を期待できるメリットがありますが、反対に品質・納期・アフターサービスなどが犠牲になるリスクがあります。
近年ではリバースオークションは以前に比べるとあまり行われていません。
効果的なコスト削減アプローチ:4つの手順
スムーズにコスト削減をおこなうには、準備・実践・検証・改善などの流れを理解しておく必要があります。
本章では、コストを削減する具体的な手順を解説していきましょう。
手順1:現状のコストを把握する
現状把握をしなければ、適切なコスト削減策を講じることができないため、現状把握からスタートしましょう。
現状を把握するには、業務プロセスを見直して、かかっているコストをすべてリストアップする必要があります。
コストを可視化することで、これまで気がついていなかったムダを発見できることが多いです。
手順2:目的を設定し共有する
コスト削減を「なんのために・どの程度・いつまでにおこなうか」という具体的な目標を設定します。
併せて、利益率の向上や投資余力の確保などの目標達成によって得られる効果を算出することも重要です。
具体的に目標をシミュレーションしたら、具体的な施策・計画を検討して、会社全体に共有しましょう。
手順3:実行
コスト削減計画に基づいて、コスト削減策を実行します。
進捗状況を定期的に確認し、必要に応じて計画を修正しながら、目標を達成できるように取り組みます。
手順4:実施プランの効果を検証し改善する
コスト削減のためのプランを一通り実行したあと、目標の達成率や影響を検証します。
目標の達成度合いを項目別に評価し、効果が低い施策については原因を分析して改善案を検討しましょう。
反対に成功した施策については、実施を継続します。
購買システムに搭載されているコスト削減に役立つ機能
本章では、購買システムに搭載されているコスト削減に役立つ機能をご紹介します。
この項目に記載のないもの、たとえば原価推計・商流変更・SRMなども、一定の規模・数量になると購買管理システムを導入したほうが業務効率がアップする可能性があります。
購買システムの機能を理解・活用し、効率的にコスト削減を実践しましょう。
見積仕様の整備・相見積(RFQ)
明確な見積仕様書を作成することがコスト削減の出発点になります。
詳細な仕様を提示することで、サプライヤーからの見積もりが比較検討しやすくなり、適正な価格での調達を実現できます。
【見積仕様書に関する主な機能】
- サプライヤー情報の一元管理
- 複数のサプライヤーへの見積依頼を一括作成
- 仕様書の標準化
- 詳細な情報記載
- 簡単品目登録
- 図面やサンプルの添付・添付
- 多様な一覧画面で簡単進捗管理
- 見積比較表を自動で作成
- シームレスな受発注連携
複数のサプライヤーから見積もりを収集し、比較検討することで、競争原理を働かせ、より有利な条件を引き出すことも可能です。
コストテーブル作成
コストテーブルとは、原価に影響を与える変動要因・原価との関係を整理し、表形式や計算式にまとめたものです。
品目ごとのコスト情報を一元管理し、価格の推移や変動要因を分析することで、効果的なコスト削減戦略を立案できます。
- データ収集:過去の購買データや市場調査データなどを収集して、品目ごとのコスト情報をデータベース化する
- 分析:コストの推移・変動要因・サプライヤーごとの価格差などを分析する
- 可視化:分析結果をグラフや表などで可視化して、関係者間で共有する
- 活用:価格交渉や原価低減・サプライヤー選定などにコストテーブルの情報を活用する
電子入札
インターネット上で入札を実施することで、従来の紙ベースの入札に比べて、時間と手間を大幅に削減できます。
電子入札の方が、一般的に事務処理の負担が軽いためです。
また、印刷費や輸送費などのコストがかからないことや、多くのサプライヤーが参加しやすく競争が活性化しやすいこともコストが下がる要因です。
各種自動化・工数削減・効率化機能
購買システムには、他にもさまざまな機能が用意されています。
- 購買業務の自動化
- カタログ購買機能
- 契約ライフサイクル管理機能
- 申請・承認機能
- 取引先・請求管理機能
- 伝票照会機能
- API連携
- モバイル対応
購買システムを活用することで、業務効率化や人的ミスを低減でき、人件費の削減も実現できるでしょう。
購買分析
購買システムでは、自社の取引先の情報を一括管理できます。
過去の購買データを分析・支出パターンやコスト構造を把握することで、潜在的なコスト削減の機会を発見できるでしょう。
データ収集:ERPシステムや購買システムから購買データを収集し、分析可能な形式に加工する
分析:支出額・品目別・サプライヤー別・部門別などの切り口でデータを分析し、問題点や改善点を洗い出す
可視化:分析結果をダッシュボードやレポートなどで可視化し、経営層や関係部署に共有する
活用:分析結果を基にコスト削減目標を設定し、具体的な施策を立案・実行する
コスト削減を実施する際の注意点
利益を上げていくうえで不可欠なコスト削減ですが、取り組む際に注意すべきこともあります。
本章では、コスト削減をおこなう際の注意点をご紹介します。
必要なコストまで削減しない
コスト削減は「ムダなコストを削減するためにおこなうもの」であり、必要なコストまで削減しないよう注意しておきましょう。
特に、従業員が心身ともに健康的に働けるかどうかは重要なポイントです。
コスト削減にばかり目が行きすぎると、従業員への業務負担が増え、モチベーションや業務効率の低下・離職率の増大といった問題が発生する恐れがあります。
効果だけでなく、従業員への負担なども考慮したうえで、対象や方法を検討してください。
手段と目的を混同しない
コスト削減に取り組んでいると、それがいつしか「目的」と化すケースがあります。
コスト削減の本来の形は「業務効率化や利益増加を図り、ひいては従業員への還元や自社の成長を目的とする」ものです。
従業員の意思を無視して無理に実行すれば、返って経営に大きな影響をおよぼす可能性もあるため、目的やビジョンを明確にしたうえで企業全体で取り組むことが重要といえるでしょう。
削減効果が大きいものから取り組む
コスト削減をおこなう際は、より大きな削減効果を期待できるものから実施していきましょう。
削減できるコストが大きく、取り掛かりやすい項目から手をつけていくことで、削減効果を実感しやすくなります。
時間がかかりそうな項目は計画を立てて段階的に進めるなど、優先順位を付けて取り組んでいくことが重要です。
最終的には従業員全員で取り組む
コスト削減は、経営者や管理職が意気込むだけでは効果は得られず、社員一丸となって取り組む必要があります。
そのため、従業員への理解・協力を得ることが重要です。
- 意義・背景・具体的な目標・方法まで、従業員に丁寧に説明する
- 上から押し付けるのではなく、従業員にコスト削減のアイデアや意見を募集し、採用する
個々の参加意欲や責任感を高め、成果や貢献に対しては適切に評価することで、従業員のモチベーションを下げずにコスト削減を進めやすくなるでしょう。
コスト削減に効果を発揮する購買管理システムintra-mart Procurement Cloud(iPC)
「intra-mart Procurement Cloud(iPC)」は、Source-to-Pay (S2P:ソーシングから支払) で企業間取引をワンストップで利用できるクラウド型調達・購買システムです。
【コスト削減効果】
→業務効率化による間接費の削減、適正価格での調達による直接費の削減など、多角的なコスト削減効果が期待できる。
【業務効率向上】
→購買業務にかかる時間を大幅に短縮し、より戦略的な業務に注力できる。
【コンプライアンスリスクの低減】
→承認ワークフローや監査証跡機能により、コンプライアンスリスクを低減する。
【データに基づいた意思決定】
→購買データを可視化・分析することで、より精度の高い経営判断が可能となる。
【サプライヤーとの関係強化】
→サプライヤーポータル機能を活用することで、サプライヤーとの連携を強化し、Win-Winの関係を構築できる。
企業の利益を最大化することを目的としたシステムであり、調達・購買業務全般でさまざまな悩みを解決できます。
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まとめ
コスト削減は、企業を経営するために避けては通れない課題であり、企業の根幹にかかわる部分にも着手していく可能性もあるでしょう。
コスト削減を成功させるポイントは、目的とビジョンを明確にし、それを従業員全員に周知したうえで、企業が一丸となって取り組んでいくことです。
経営者・管理者を含む全社員が目的を共有・協力して取り組むことで、スムーズな業務改善を実現できるでしょう。