調達マネジメントとは?調達プロセスと課題の改善・効率化する方法を解説

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調達マネジメント
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調達マネジメントは、プロジェクトを成功させるために資材の調達計画や仕入れ先の交渉から検収まで行う役割を担っています。

 

全体のコストに関わるポジションでもあるため、適切な取引先と適切な価格での取引が必要です。

そのため、コミュニケーション能力が最も重要視される業務ともいえるでしょう。

 

また、調達マネジメントのプロセスにおいては計画の作成やコントロールが必要になるため、全体を把握したうえで判断する能力も必要になってきます。

 

そこで本記事では「調達マネジメントとはなにか?」の疑問への回答と知っておきたい単語を解説するほか、プロセスや課題、課題の改善と効率化する方法を説明します。


調達マネジメントとは?

調達マネジメントとは、プロジェクトの中で必要になる資材・サービスを調達する流れを管理する活動のことです。

「プロジェクト調達マネジメント」とも呼ばれます。

 

調達マネジメントの業務は、計画の作成実行のために必要な資源の調達納品物の監査と評価・契約完了の通知までです。

詳しい内容については「調達マネジメントのプロセス」で説明します。

 

調達マネジメントのプロセスについて理解を深める前に、まずは「PMBOK」と「RFP」について知っておきましょう。

PMBOK」と「RFP」に関する知識は、調達マネジメント計画の作成時に役立ちます。

PMBOKとは

PMBOKとは、プロジェクト管理におけるベストプラクティスやフレームワークを包括したガイドブックのことです。

 

 

プロジェクトの計画から全体プロセスに関するノウハウが体系的にまとめられているため、プロジェクト管理の国際的な基準として世界中で利用されています。

 

このガイドブックの手法にしたがって「調達マネジメントの計画」を実施すれば、調達の方針を決定しやすいでしょう。

RFPとは

RFPとは、「Request for proposal」の略です。

日本語では「提案依頼書」と訳されます。

 

「見積依頼書」であるRFQと少し似ていますが、盛り込まれる内容は以下のとおりです。

 

・現状の課題と導入の目的

・完成・運用までのスケジュール

・依頼範囲

・契約条件

・細かい詳細を入れた見積り

 

RFPとRFQの違いを詳しく知りたい方は、「RFQRFIRFPの違いとは?調達業務での活用方法や登場シーンについて解説」をご覧ください。

RFQ・RFIRFPの違いが説明されているほか、取引先選定時にどのような流れで使われるか解説しています。

 

調達マネジメントにおける「資源」とは?

調達マネジメントでは、計画を実行するために必要な資源を調達することがメインの業務です。

 

一般的に「資源」といえば「木」や「燃料」など自然のものをイメージしがちですが、調達マネジメントにおける資源は「人」「部材」「設備」と、人と設備も資源に含まれます。

組織内の人材だけでは足りない場合は、外部から人員を確保するのも調達マネジメントの業務の1つです。

大規模なプロジェクトの場合、社内の人材だけでは不足することもあるため、規模に合わせて人材を確保します。

 

外部に依頼する場合(外部への委託=サービス)は、知識や技術のレベルに差異が生じないよう、価格だけではなくスキル面にも注目して選定することが重要です。

部材

プロジェクトに必要な部材の確保も、調達マネジメント担当者が行う業務の1つです。

部材の調達は適切な品質・数量・価格で、必要な時期までに調達しなければなりません。

 

 

適切な価格で高い品質のものを仕入れるほか、プロジェクト全体のスケジュールに合わせて納期を調整することも必要になります。

そのため、プロジェクト全体を把握したうえで計画通りに実行できるよう判断できる力が必要だといえます。

設備

プロジェクトで使用される機械・装置・ツールなどを調達することも業務の1つです。

exclamation建設機械・コンピュータ・ソフトウェアなど、プロジェクトに必要なあらゆる設備を調達します。

 

例えば建設プロジェクトであれば、クレーンカーやブルドーザーなどの建設機械が「設備」に該当します。

リースやレンタルなどの導入方法も含めて、プロジェクトにとって最適な方法での調達を検討しなくてはなりません。

調達マネジメントのプロセス

調達マネジメントは、以下のプロセスで進行します。

 

  1. 調達マネジメント計画の作成
  2. 調達の実行
  3. 調達コントロール
  4. 調達終結

 

1. 調達マネジメント計画の作成

まずは、調達の進め方や管理方法を定義した「調達マネジメント計画書」を作成します。

 

プロジェクト初期段階において、何の資源いつ・どのくらい・どのように調達するかをあらかじめ検討しましょう。

 

資源を外注する場合は、調達マネジメント計画書だけでなく、調達品目の要件をまとめた調達作業範囲記述書を作成することもあります。

調達作業範囲記述書を作成しない場合、作業に問題が生じたとき「こちらの作業範囲ではない」と責任を押し付け合いになる可能性があるからです。

 

そのほか、必要に応じて入札文書発注選定基準を作成します。

次の段階で納入業者の選定や交渉・契約を行うため、調達マネジメント計画の作成時に入札文書を作ったり選定基準を決定したりすることなどが必要になります。

2. 調達の実行

調達の実行とは、調達マネジメント計画に基づいて納入業者の選定や交渉・契約することです。

 

納入業者の選定においては、調達に関する必要な情報の提供入札説明会の開催などを行います。

 

入札説明会を開催する場合は、特定の応札者に有利な取り扱いをしないよう注意し、購入者からの質問や納入候補への回答などの情報はすべて共有するよう配慮しましょう。

3. 調達コントロール

調達コントロールの段階では、契約のパフォーマンスを監視し、必要に応じて変更と是正を行います。

具体的な業務としては、進捗管理や納品物の品質管理、変更管理が中心です。

 

納品物の品質管理では、以下のことを確認してください。

 

・注文通りの機器や部材であるか

・注文数と納品数に差異がないか

・機器に不具合がないか(破損や故障など)

 

調達パフォーマンスを評価するには、納入者と締結した合意書を基に進捗状況など契約条項と照らし合わせて、以下のことをアウトプットしましょう。

 

・作業パフォーマンス情報

・変更要求

・対応履歴

 

4. 調達終結

調達終結は、調達マネジメントにおける最後のプロセスです。

 

調達に関わる全ての作業を評価し、成果物が受け入れ可能であることかどうかの検証を行います。

検収を実施して合格すれば、終結プロセスに移ります。

 

終結プロセスでは、調達監査にて計画からコントロールまでを評価します。

監査終了後は納入者に契約が完了したことを書面で通知して、契約完了です。

 

しかし不合格の場合、納入者に通知のうえ調達コントロールプロセスに戻します。

例えば検収において品質が未達成であることが発覚すれば、合格基準に達する成果物を納品するよう交渉します。

調達マネジメントでサプライヤーとの交渉が必要になるシーン

調達マネジメントのプロセス」を読んでわかった方もいるかもしれませんが、調達マネジメントの業務はさまざまなシーンでサプライヤーとの交渉が必要です。

 

サプライヤーとの交渉が必要なシーンは、主に以下の3パターンに分けられます。

 

・調達段階における価格交渉時

・途中・終結段階における変更時

・クレームなどのトラブル発生時

 

交渉の仕方によっては、担当しているプロジェクトにおける損益が左右されてしまうこともあるでしょう。

そのようなリスクに対する解決策も併せて解説するため、交渉のポイントが知りたい方は参考にしてください。

調達段階における価格交渉時

直接取引する場合、価格交渉が必要になります。

 

初期段階で価格交渉がうまくいかなければ、全体のコストが上がる可能性があります。

そのため、価格交渉時は調達マネジメント担当者として腕の見せ所といえるでしょう。

 

価格交渉を成功させるためには、要求を受け入れさせるのではなく受け入れてもらうことが重要です。

「話せばわかってもらえる」と自身のコミュニケーション能力を過信せず、次の4つのポイントを踏まえたうえで事前に準備しておきましょう。

 

・妥結点を事前に決める

・交渉ができそうな相手を選定する

・値下げできる根拠や値上げが妥当でない根拠を見つける

・要求を受け入れてもらえるような代替案を提示する

・相手にとってもメリットのある内容を提案する

 

途中・終結段階における変更時

プロジェクトの途中で仕様変更が発生して、納期や価格の見直しが必要になった場合や納品された製品の品質が基準に達していないことが発覚した場合などは、交渉が必要になります。

 

問題の内容にもよりますが、交渉時のポイントは以下のとおりです。

 

・変更・修正内容を明確にする

・代替案を検討する

・契約書を見直す

 

クレームなどのトラブル発生時

価格交渉時や途中・終結段階の変更時のほか、すべての調達に関わる課題やクレームなどの解決において交渉が必要です。

トラブルを解決してプロジェクトを進めるために、当事者と和解できるように交渉しましょう。

 

和解が不可能な場合は仲裁や調停などによる紛争解決のほか、裁判所への提訴などの手段があります。

しかし、長期戦になる可能性もあるため、なるべく当事者とすぐに和解する方法がおすすめです。

 

トラブル発生時のポイントは、以下のとおりです。

 

・冷静に対応する

・契約書・発注書・納品書などの問題を裏付ける証拠を提示する

・解決策を提案する

・トラブルの再発防止策をサプライヤーと共有する

 

調達マネジメントにおける課題

製造業における調達マネジメントの課題は、主に以下の4つです。

特に、製造拠点が複数ある場合はこれらの課題が顕著になることでしょう。

 

・製造拠点ごとに調達方法と条件が異なる

・製造拠点の調達状況の把握が難しい

・管理業務が煩雑である

・属人化しやすい

 

製造拠点ごとに調達方法と条件が異なる

1つ目の課題は、製造拠点ごとに調達方法と条件が異なることです。

 

製造業における資材調達は、本社が一括管理している場合と製造拠点ごとに管理しているケースがあります。

 

前者の場合、すべての拠点の情報を1点で管理しているため、調達方法や条件も統一されているでしょう。

さらに調達方法や条件が設定されており、情報が本社で管理されていれば問題発生時にすぐ対応できます。

 

しかし後者の場合、拠点ごとに調達方法と条件が異なることがあります。

そのため、拠点ごとに別々の問題が発生すれば、個別に対処しなければいけません

 

個別に対処しなければいけない理由は、本社の社員や役員では情報が正確に把握できず、トラブルを解決するまでに時間がかかってしまうからです。

そのため、調達方法と条件を個別に設定した拠点の社員しか対処できません。

 

製造拠点の調達状況の把握が難しい

2つ目は、製造拠点と調達状況の把握が難しいことです。

 

拠点に合わせた調達方法と条件を設定することは、業務効率化につながります。

業務が効率化できればコストの削減や生産数・利益の向上が見込めるため、会社にとってはプラスでしょう。

 

しかしその一方で、別の拠点からは調達状況の把握が難しいという課題もあります。

その理由は調達方法や条件のほか、管理している情報はその拠点にいる担当者しかわからないからです。

 

調達状況を正確にとらえられず管理体制が整わない状態のままの場合、問題の発見が遅れ廃棄ロスや在庫不足による機会損失・事業の損失など大規模な問題に発展する可能性があるでしょう。

 

管理業務が煩雑である

3つ目は、管理業務が煩雑になってしまうことです。

 

調達品目の多い製造業の場合、管理項目が膨大になってしまいます。

 

管理項目が膨大であっても、管理体制がしっかりと整えられていれば問題はありません。

しかし、拠点別に独自の取引方法を設けていたり、管理体制を整えたりしないままの場合、業務が煩雑となってしまいます。

 

業務が煩雑になってしまえば、業務効率が下がるほか情報の管理が難しくなってしまうでしょう。

さらに、紙媒体での管理などアナログ的な管理方法をしていると、人的ミスが発生することもあります。

属人化しやすい

4つ目は、属人化しやすいことです。

 

管理業務が煩雑になった結果、属人化してしまうリスクもあります。

 

属人化とは、特定業務に関する手順や状況などの情報が作業担当者しか把握できておらず、ほかの社員では情報の確認ができない状態のことです。

 

業務の分担により担当者が個別に取引先とやり取りするようになれば、その担当者にしか取引方法や管理している情報の場所がわかりません。

そのため、担当者の不在時や退職後には調達業務が滞って効率が下がってしまうほか、生産体制に影響を及ぼすことも考えられます。

調達マネジメントの課題を改善して効率化する方法

調達マネジメントの課題について理解を深めたところで、改善して効率化する方法をご紹介します。

どの方法でどのような課題が解決できるか解説するため、現時点で課題が明確になっている場合はぜひご検討ください。

 

調達業務の標準化

拠点ごとに取引条件や方法が異なる場合は、調達業務の標準化から始めてください。

 

まずは、推奨購買品や取引条件の設定から行います。

 

標準化により原材料の仕入れ先を統一すれば、価格交渉を優位に進められます

そのうえ、まとめて発注することで調達コストを抑えることもできるでしょう。

 

また、標準化すれば調達状況の把握が容易になります。

調達状況が把握しやすくなるとトラブルやミスなどの問題も発見しやすいため、事前に対処することで滞りなく計画を進められるでしょう。

専門チームの立ち上げ

調達マネジメントでは、調達プロセスの把握に多くの時間を割くことがあります。

時間短縮とコスト削減のためになるべく時間を減らしたいものですが、通常業務と並行していては業務改善が進みません。

 

この場合、おすすめの方法は専門チームを立ち上げることです。

専用チームを立ち上げれば課題解決に集中的に取り組められるため、業務改善が一気に進むでしょう。

調達管理業務のシステム化

調達業務の標準化や専門チームの立ち上げでも解決できない場合は、調達管理システムの導入がおすすめです。

購買管理システムの導入により、調達ルールの統制強化や進捗状況を正確に把握しやすくなります。

 

購買管理システムには、購買・販売・支払い管理などさまざまな機能が搭載されているほか、生産管理システムとの連携も可能です。

そのため、生産計画に沿ったベストな調達タイミングがわかります

 

また、システム上でデータを保管するためペーパーレス化も促進できます。

「データでの管理は慣れるまで探すのがたいへんそう…」と思う方もいるかもしれませんが、操作性の高い製品もあるため、社内でも浸透しやすいでしょう。

 

intra-mart Procurement Cloudで課題を解決

 

調達の課題を解決する方法として、購買管理システムのintra-mart Procurement Cloudをご紹介します。

 

intra-mart Procurement Cloudは、見積・発注・契約管理などの調達の効率化・一元管理に必要な情報を搭載しています。

 

・見積依頼や分析を手軽にできる見積依頼

・受発注の流れを効率化できる受発注機能

・社内外の請求書のフローを簡略化できる支払いフロー作成機能

・頻繁に購入する商品をカタログ化するカタログ化機能

 

そのほか、購買・調達関連の業務効率化・一元管理化・ペーパーレス化につながる機能を多数搭載しています。

小ロットでのお試しの導入も受付ているため、調達に課題を感じられている際は気軽にご相談ください。

まとめ

調達マネジメントとは、プロジェクトの中で必要になる資材・サービスを調達する流れを管理する活動であることがわかりました。

また、製造業においてはさまざまな課題があることもわかったでしょう。

 

調達マネジメントにおける課題を解決するには、調達業務の標準化専門チームの立ち上げを行うか、調達管理業務のシステム化の導入を検討してください。

 

調達管理業務をシステム化するには、購買管理システムの導入がおすすめです。

購買・販売・支払い管理などさまざまな機能を搭載したシステムを、スモールスタートで早期導入できます。

 

気になる方は公式サイトにて資料をご請求いただくか、お気軽にお問い合わせください。



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