見積業務・見積管理業務を効率化するには?管理のポイントも解説

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見積業務・見積管理業務
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見積業務は、バイヤーから依頼を受けたサービス・物品に対し、料金・金額・納期などを記載した見積書を発行する際に必要な業務を指します。

対して見積管理業務は、見積依頼を出したりデータを集約して比較したりする、バイヤー側の業務を指すことばです。

また見積発行にかかる上記の業務へ至るまでには、RFIRFPなど、複数の書類をやり取りするケースもあります。

 

この記事では、見積業務・見積管理業務の概要、見積管理業務における課題、効率化のポイントなどについてご紹介します。

「見積に関連する業務を効率化したい」「見積にかかる業務がたいへん」と感じている方は、ぜひご覧ください。

見積業務/見積管理業務とは

見積業務は、バイヤーから依頼を受けた際に、サプライヤーが物品やサービスの金額・数量・納期などを記した書類を作成する業務を指します。

見積書作成から提出までの、一連の業務を指す場合がほとんどです。

見積業務の基本的なフローには、下記の5ステップがあります。

 

  1. 適切な価格を設定する
  2. 見積書を作成する
  3. 見積書を申請し承認してもらう
  4. 顧客へ見積書を提出する
  5. データを管理・運用する

 

対して、バイヤー側で見積依頼を出したり見積の回答を集めてデータベース化したりする業務を「見積管理業務」といいます。

依頼したいもののイメージはバイヤー側にあるため、見積業務をスムーズに進めたい場合は、情報を整理しておき的確に要件を伝えることが大切です。

ここでは、基本的な見積管理業務として下記に挙げる5つの工程をご紹介します。

 

  1. 見積依頼
  2. 見積評価
  3. 見積情報の収集・管理
  4. 見積プロセスの評価・見直し
  5. 結果の分析

見積依頼

まずは、バイヤーとして希望する物品・サービスに関する情報をとりまとめ、サプライヤーに見積依頼を出します。

物品やサービスに関する情報として、下記について設定しましょう。

 

  • 製品・サービスの仕様
  • 発注したい数量
  • 設定納期
  • 物品に対する品質基準
  • 技術要件
  • 予算 など

 

企業の公式サイトや自社に蓄積された取引履歴などの情報をもとに、希望する条件を満たせそうなサプライヤー候補を選定し、依頼しましょう。

見積評価

見積結果が集まったら、各社の回答内容について精査・評価をします。

価格のほか、品質水準・対応納期・実績・対応可能なサービスの有無なども含めて、総合的な評価を下す必要があります。

たとえば「A社の方がコストは若干安いが、B社の方が対応納期は2日短い」というようなケースでは、B社を選ぶ方にメリットがあると判断できる場合もあるでしょう。

 

また必要に応じて、サプライヤーへ質問や相談をして、疑問点を解消します。

さらに、見積結果をもとに交渉し、より有利な条件を設定しておくことも大切です。

見積情報の収集・管理

見積結果をもとにサプライヤーを決定したのちには、見積情報・市場価格・サプライヤー各社の評価などを、重要なデータベースとして一元管理することが大切です。

データベース化しておくと、今後の購買・調達に関連する事業戦略へ活かせるようになります。

過去の見積・取引情報をもとに、市場のトレンドや価格変更、サプライヤーの傾向などを分析する際に役立つ、良質な情報資産となるでしょう。

見積プロセスの評価・見直し

見積依頼から発注までに辿ったプロセスを可視化し、標準化を図ります。

非効率的な箇所を特定し、具体的な改善案へ落とし込んだうえでフローを作成しておけば、誰が見積管理業務を担当しても効率的に業務を遂行できるようになるでしょう。

ときにはシステムをうまく活用しながら、属人化せず、効率的に業務を遂行できる体制を整えておくことが大切です。

結果の分析

見積業務の結果を分析し、たとえば「コスト削減や品質改善のために取り組める施策がないか」「リスク要因としてなにがあるか」をまとめておきましょう。

見積プロセスの評価・見直しと同様に、具体的な施策として情報をまとめておけば、ノウハウが共有されるため調達・購買業務全体の業務効率化に役立ちます。

【RFI・RFP・RFQ】見積業務/見積管理業務で重要な3つの書類

バイヤー側が見積依頼に際して把握しておきたいこととして、RFIRFPRFQという3つの書類の存在が挙げられます。

サプライヤー選定へ大きな影響を与える情報を収集する際に欠かせないため、それぞれの主な内容について確認しておきましょう。

RFI(Request for Information:情報提供依頼書)

RFIは「情報提供依頼書」とも呼ばれる依頼文書を指します。

取引を検討するにあたり、サプライヤー候補企業の基本情報や実績、製品・サービスについて提示してもらうために発行します。

RFIには主に下記のような、公式サイトやパンフレットで公開していない情報も記載して作成しましょう。

 

  1. プロジェクトおよび依頼書作成の目的、背景
  2. 自社について正しく把握してもらえる詳しい情報
  3. 情報提供の依頼内容(サプライヤーの企業情報、製品・サービス情報、実績)
  4. 情報提供における手続き方法(見積や契約までの想定スケジュール、問い合わせ先、留意事項)
  5. その他必要な情報

 

自社の想定する商品製造に技術・材料を提供してもらうにあたり、適切な取引先かどうかを判断するための材料となります。

取引先の新規開拓時に、とりわけ重要な役割を担う書類といえるでしょう。

RFP(Request for proposal:提案依頼書)

RFPは、サプライヤーからビジネスの具体的な提案をしてもらうため、RFIをもとに自社の要件をまとめて作成する書類です。

RFIは多くの企業へ送付しますが、RFPは、そのなかから前向きに検討したい数社に絞って作成・発行します。

自社の課題やイメージする製品像に基づいた案を出してもらうことが目的のため、RFIで得た情報を踏まえて作成しましょう。

 

またRFPは、見積・契約締結のまえに認識のズレやギャップをなくすだけでなく、取引情報を整理するためにも重要です。

記載が必要な主な項目は下記の6項目のため、網羅できる形で作成しましょう。

 

  1. プロジェクトの概要と目的
  2. 依頼範囲
  3. 契約条件
  4. 完成までのスケジュール
  5. コンペを開催する場合は、その依頼内容と要件
  6. 問い合わせ先に関する情報

RFQ(Request for quotation:見積依頼書)

RFQは、RFIRFPのやり取りを踏まえ、本格的に「取引を依頼したい」と思うサプライヤーに対して発行する書類です。

実際に見積を算出してもらい、RFQの依頼を出したなかでも、もっともよい条件を提示した企業を選ぶ際に用いられます。

記載する主な内容として下記の10項目が挙げられます。

 

  1. 依頼主情報
  2. 見積依頼を出す製品・サービスの情報
  3. 仕様内容
  4. 目標価格・想定費用
  5. 数量・ロット数
  6. 発注開始時期
  7. 製品サイクル
  8. 納品場所
  9. 支払い条件
  10. 不良品発生時の対処方法、条件、補償内容

 

つまりサプライヤーと契約するまでには、一般的に「プロジェクト策定・予算決定」「要件定義」「書類送付(RFIRFPRFQ)」「回答の比較・検討」「契約」という流れを辿ります。

見積業務/見積管理業務における課題

見積管理業務において、バイヤー側の担当者は、いくつかの課題を抱えてしまうケースもあります。

ここでは、バイヤー側担当者が悩むケースの多い「ギャップ」「検索性」「統一性」についてご紹介します。

対策方法もあわせてご紹介するため、ひととおり確認しておきましょう。

認識にギャップが生じてしまう

自社で定義した仕様・要件が正しく伝わらなかったために、サプライヤーとの間で認識の齟齬(そご)・ギャップが生じてしまい、ビジネスがスムーズに進まないケースです。

認識にギャップが生まれる理由としては、たとえば「RFIRFPの内容が不十分だった」「その内容が他社にとって理解しにくい内容だった」などが挙げられます。

 

対策としては、書類のやり取りをするまえに、社内でプロジェクトにおける要件定義・イメージ・条件などを細かく設定しておくことが挙げられます。

製造に関連する部署でよくコミュニケーションを取り、詳細を決め、社内コンセンサスを獲得してから取りかかる必要があるでしょう。

見積関連書類の検索性が低い

サプライヤーから返送された関連書類が、担当者それぞれのパソコンに保存されている場合は、横断的な検索やスピーディな比較ができません。

書類全般を比較したい場合はデータを移行したり印刷したりしなければならず、手間がかかるでしょう。

また別個のファイルとして保存していると、内容からの逆引きができず、データを参照したくても参照しにくい状態に陥る可能性もあります。

 

対策としては、社内で関係する全員がアクセスできるクラウド上に見積関連書類を保管することが挙げられます。

また検索性を上げたいときには、ほかに管理番号・見積内容・金額などをまとめたデータベースを作成する必要も生じるでしょう。

 

統一性がない

見積関連書類のフォーマットが担当者によって異なり、ときに「適切な回答が得られない」「単純な比較ができない」といったトラブルが生じるケースもあります。

そのため、見積管理は集約して、統一的に取り組むことが重要です。

重視したい内容や比較しておきたい内容などをピックアップし、購買・調達部署が集約的に取り組む体制を整えておきましょう。

見積業務/見積管理業務のシステム化による効率化

見積管理業務をスムーズに進めたい場合は、システム化を検討しておきましょう。

システムを用いてデータを一元管理すれば、事業戦略の策定や実行にも役立ちます。

ここでは、見積業務・見積管理業務をシステム化して得られる5つのメリットをご紹介します。

 

  1. 意思決定の効率化
  2. 標準化とノウハウの蓄積
  3. 見積依頼情報のデータベース化
  4. 不正防止と透明性の確保
  5. サプライヤーとの関係性の強化

意思決定の効率化

システムを用いて情報を一元管理すれば、意思決定に必要なデータを探し出す手間を削減できます。

その結果承認作業がスピーディに進むようになったり、分析作業のムダを省けたり、効率化へ大きく貢献できるでしょう。

ビジネスチャンスを逃さない迅速な意思決定を実現するためには、システム化が重要な鍵となる可能性があります。

標準化とノウハウの蓄積

システム上にデータを集約しておけば、RFIRFPRFQなどの書類をすぐに開いて確認できます。

情報の確認作業が大きく効率化されるため、品目ごとに最適な購買戦略を策定しやすくなるでしょう。

またシステム化によって蓄積されたデータを活用できるようになったり、やり取りの履歴からノウハウを共有できる体制が整ったりすれば、新しく担当となった人が効率的に業務へ着手できるようになるのも大きなメリットです。

見積依頼情報のデータベース化

システム上に見積依頼情報がまとまれば、以降は過去のデータを参照にしつつ、適正価格での交渉をしやすくなります。

価格のほか、値引き条件をはじめとする関連情報も簡単に確認できるようになれば、さらなるコスト削減・利益率アップをも狙えるでしょう。

不正防止と透明性の確保

取引・見積の情報や、関連するメッセージのやり取りを可視化・記録しておくと、不正行為を抑制する効果も期待できます。

該当情報へのアクセス権を付与されている全員がチェックできる体制を整えておけば、サプライヤーとの癒着や公正ではないサプライヤー選択が生じた場合も、発見がしやすくなるでしょう。

結果として、自社全体のコンプライアンス意識を向上させることで、社外からの信頼性を高める効果も期待できます。

サプライヤーとの関係性強化

サプライヤーに関連する情報や評価項目・評価結果・判断理由などを集約しておけば、客観的・公平性のある評価を下しやすくなります。

信頼性と事業持続性が高く、自社の理念や事業の方法性を理解してくれるサプライヤーを選択し、良好かつ長期的なパートナーシップを構築できれば、安定した製造・サービス提供の体制を整えられるでしょう。

見積業務(見積依頼情報)データベース化による効率化のステップ

実際に見積業務・見積管理業務を効率化するためにシステム化する場合、どのような手順を踏む必要があるのでしょうか。

基本的には、下記に挙げる5つのステップへ分けられます。

それぞれの内容とポイントをご紹介します。

 

  1. 現状把握とデータベース設計
  2. システムの選定
  3. データベースの反映・データ入力
  4. システム連携と機能拡張
  5. 運用・メンテナンス

現状把握とデータベース設計

システム化に際しては、まずはデータを整理し、現状把握とデータベースの構築に努めましょう。

現状把握のためにデータを整理する際は、下記のような取り組みができます。

データの整理が終わったら、システムに反映させるために、データベースとして構築しましょう。

 

  • 見積に関するデータが保管されている場所・形式を整理してまとめる
  • 紙媒体で保存されているデータは、スキャンして電子化し、特定の場所に集めておく

システムの選定

データベース化ができたら、適したシステムを選ぶため、達成したい目標を定義しましょう。

達成目標は、たとえば「ムダの削減と業務効率化」「コスト〇%削減」「情報共有促進」「コンプライアンス強化」などが挙げられます。

自社の抱える課題の内容に応じて設定しましょう。

 

見積業務の効率化に役立つ「見積システム」には、主に下記の機能が備わっています。

このなかから、目的を達成するために役立つ機能を網羅的に備えたシステムを選ぶことが重要です。

 

  • 見積書作成機能:過去見積書の流用、自動転記、自動採番、商品マスタ選択など
  • 見積書の承認・発行機能:承認設定機能、見積書メール送信機能など
  • 見積書の分析機能:過去データの参照、数ヶ月後までの受注予測機能など

 

また、見積システムは、内容・提供形態に応じてそれぞれいくつかの種類に分けられます。

自社の見積業務にはどのタイプが向いていそうか、業務傾向をかんがみながら検討してみましょう。

 

内容に応じた種類分け

l  見積業務特化型:業務のなかでも、見積で必要な機能を厳選して搭載したタイプ

l  販売管理・EPR型:受注から納品まで、部門をまたいで活用できるタイプ

l  業種特化型:業種特有のデータを紐付けたり、業種特有の部品・材料の価格を参照できたりする機能が備わっているタイプ

提供形態に応じた種類分け

l  インストール型:パソコンにインストールして利用する、買い切りタイプのシステム

l  クラウド型:インターネット環境があれば、いつでもどこでもどの端末からでも利用できるシステム

 

データベースの反映・データ入力

システムの仕様にのっとり、作成したデータベースを反映させます。

データ量は膨大になることが想定されるため、インポート機能・データ連携・クラウド技術など、効率的にデータを移行できる機能を活用しましょう。

システム連携と機能拡張

製造業を担う企業では、購買・調達・製造・会計などに関連する、複数のシステムを導入済みというケースも少なくありません。

業務関連のデータを扱うほかのシステムと連携させておき、円滑な業務進行ができるよう体制を整えましょう。

運用・メンテナンス

システムのセットアップができたら、実際に運用をしていく必要があります。

運用時は、複数人が業務に従事しても統一したフォーマット・仕様が維持されるよう、データ入力や更新にまつわるルールを定めておきましょう。

また同時に、データ紛失のリスクへ備えてバックアップを取っておくほか、システムのメンテナンス・アップデートを定期的に済ませておくことも大切です。

 

データの質を維持できるよう、明確なルールのもと運用・メンテナンスに取り組みましょう。

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見積業務の効率化を進めるなら、「intra-mart Procurement Cloud」もご検討ください。

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見積・契約を含む調達管理機能が搭載されており、属人化を防ぐとともに見積のノウハウを共有するのに役立ちます。

 

また「intra-mart Procurement Cloud」には、ほかにも購買管理機能・カタログ購買機能・支払い機能・販売管理機能・金融EDIを搭載しています。

導入すれば、適正価格・適正量での契約締結を実現しやすくなるでしょう。

 

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・見積依頼テンプレート:過去の見積書をテンプレートとして活用して、見積の作成時間を短縮

・一括見積:複数のサプライヤーに同時に見積依頼を送信・見積回答の自動集計と比較表作成

・サプライヤーとの双方向の情報共有:サプライヤーとシステム上でやり取りが可能

・過去の取引履歴を蓄積:次回以降の見積時の基準として利用可能

・予算管理との連携:見積金額と予算を連携させて比較することで、予算をオーバーするリスクを早期に発見

 

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まとめ

見積業務は、見積依頼を受けた商品・サービスの、金額・数量・納期などを明記した書類作成にかかる業務をいいます。

対して見積管理業務は、見積依頼を出したり見積の回答を集めてデータベース化したりする、バイヤー側の業務を指します。

見積業務に際しては、RFIRFPRFQといった複数の書類をやり取りし、すりあわせをして認識のギャップを解消しながら話を進めることが大切です。

 

見積管理業務に取り組む際は、統一的なルールを策定したり状況に応じてシステムを導入したりして、効率化を図ることも重要なポイントとなります。

ご紹介した内容をもとに、見積業務・見積管理業務の体制を見直し、さらなる効率化を図りましょう。


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