購買管理システムとは?購買の悩みを解決する4つのメリット
日々の購買業務について「発注先が多くて管理をしきれていない」「物価の高騰を受けて購買を見直したいのに、資料が一元管理されておらず難しい」といった悩みを抱える企業さまは少なくありません。
通常業務と平行して発注状況をデータ化・分析して経営戦略に反映させていくような、時間的余裕はない、とお思いの方もいらっしゃるでしょう。
しかしそのお悩みは「購買管理システム」によって解決できる可能性があります。
この記事では、購買管理システムとはなにか、購買管理システムに備わっている主な機能、導入のメリット・流れ・注意点などを解説します。
購買に関する課題を解消したいとお思いの方は、ぜひご覧ください。
購買管理システムとは
はじめに、購買管理の基本的な内容について確認しておきましょう。
購買管理とは、事業に必要な材料(直接材・間接材)を購入するプロセスを管理する取り組みをいいます。
適切な素材を適切な取引先から、適切な価格で購入するため、下記の情報を記録・整理しておき今後の購買活動に役立てます。
- 誰(どこの部門)が、なにを、どの事業者から、いくつ、いくらで購入したか
- 納品された物品は指定した品質、適切な価格だったか
- 納品された物品は個数・種類ともに誤りがなかったか
購買活動は原価や商品の質・単価に影響を及ぼすため、時間・手間がかかるものの、正確性が欠かせない重要な業務です。
購買管理システムの概要
購買管理システムは、購買におけるプロセスをスムーズに進めたり、より管理しやすくしたりするのに役立つシステムです。
基本的には、購買物品の見積もり取得や発注処理などの機能を搭載しています。
また事業内容に応じて、下記のように直接材・間接材それぞれで適した購買管理システムが提供されています。
- 直接材:原材料、部品など
- 間接材:工具、器具、消耗品、事務用品、補修用品など
原価高騰や人手不足に悩む企業が、購買管理の基本ルール「購買管理の5原則」にのっとって的確にビジネス展開をするのに役立つでしょう。
購買管理や購買管理の5原則について、さらに詳しく確認しておきたい方は、下記の記事もあわせてご確認ください。
- 購買管理とは?原則や課題となるポイントを抑えて経営改善を狙おう
- 購買管理の5原則とは?効果的な購買にするために必要な準備も
- 購買とは?業務内容・必要なスキルなどの基本をチェック
購買管理システムの種類
購買管理システムには、S2P・P2P・P2O・カタログ購買特化型の4種類に分けられます。
もっとも機能を多く備えた購買管理システムが、S2P(Source-to-Pay)です。
購買計画の立案から取引先の評価までを進める「戦略的購買活動」と、購買依頼から支払いまでを進める「購買オペレーション」の機能を備えており、購買プロセス全般をカバーできます。
P2P(Procure-to-Pay)は、購買オペレーション機能が搭載された購買管理システムです。
戦略的購買活動分野の機能はありませんが、効率的に発注を進める機能に特化しており、電子請求機能やステータス管理機能などが備わっているシステムも提供されています。
P2O(Procure-to-Order)は、購買オペレーション分野の購買依頼・購買発注を備えたシステムです。
請求書管理機能や支払い機能は備わっていないシンプルなタイプで、国内で提供されている購買管理システムの多くがP2Oに位置しています。
カタログ購買特化型は、購買発注機能のみを搭載したシンプルな購買管理システムで、低価格で導入しやすいのが特徴です。
S2P・P2P・P2O・カタログ購買特化型のどのタイプが必要なのか、あらかじめ絞り込んでおくと、自社に適したシステムを導入しやすくなります。
購買管理システムの主な機能
購買管理システムに備わっている主な機能として、下記の8つがあります。
分野 |
機能 |
機能の内容 |
対応する購買管理システム |
戦略的購買活動 |
購買計画機能 |
生産計画にのっとり、どの取引先からなにを、いくつ購買するかを計画するのに役立つ機能 |
S2P |
仕入れ先管理機能 |
過去の取引記録と今後の予定を管理する機能 |
S2P |
|
取引契約機能 |
契約内容を確認・閲覧する機能 |
S2P |
|
品質管理機能 |
納品物の質を確認し、基準に満たなかった納品物の個数や状態を管理する機能 |
S2P |
|
購買オペレーション |
発注管理機能 |
発注情報を管理する機能 |
P2P P2O カタログ購買特化型 |
価格管理機能 |
過去の取引も含め、購買価格を参照・管理できる機能 |
S2P P2P |
|
納期管理機能 |
納品されるまでのステータスが反映される機能 |
S2P P2P |
|
検収支払い管理機能 |
納品後、検収・支払いまでのステータスを管理・把握するための機能 |
S2P P2P |
ただし、扱う物品の種類や業界に応じて、購買管理システムで利用できる機能はさまざまです。
上記の機能はあくまでも基本的な内容のため、自社に必要な機能がなにかを明確にしてシステムを選ぶ必要があります。
購買管理システムを導入するメリット
購買管理システムを導入するメリットとして、下記の4つがあります。
- 時間・コストを削減できる
- ヒューマンエラー削減とガバナンス強化ができる
- 業務改善効果が期待できる
- 属人化を防げる
多くの企業が抱える悩みを解決するのに役立つために、購買管理システムがどう役立つのか、ひととおり確認しておきましょう。
時間・コストを削減できる
購買オペレーション分野の機能を搭載した購買管理システム(S2P・P2P)を導入すると、帳簿の電子化ができます。
すると「帳簿のカテゴライズができ分析がしやすくなる」「自動入力機能により購買プロセスの簡略化ができる」といったメリットを得られます。
加えて、電子化によって印刷コストや収入印紙代が不要になり、必要経費の削減も可能です。
また全般的な機能を備えたS2Pタイプの購買管理システムなら、取引先に関する情報の管理も可能。
よりシンプルかつ分析しやすい購買体制にできるため、業務にかかる時間やコストを削減できます。
削減できた時間や人材をほかの業務に充てれば、生産性のさらなる向上も期待できるでしょう。
ヒューマンエラー削減とガバナンス強化ができる
システムを活用して購買管理をすることで、下記のメリットが得られます。
- 発注履歴や納入状況を確認しやすくなり、重複発注を避けられる
- 発注履歴を簡単に確認できるようになり、購買業務にかける時間を削減できる
- 部門をまたいで情報共有できることで、不正防止(ガバナンス強化)ができる
- 情報が一元化されているため、ヒューマンエラーが発生した場合も原因箇所を特定しやすい
人がかかわることでどうしても生じるミスを削減するとともに、原因究明をしたり再発防止策を打ち出したりしやすくなるでしょう。
日々の購買業務がしやすくなるうえ、イレギュラーに強い体制を構築できます。
業務改善効果が期待できる
購買管理システムを導入し、情報が整理されると、購買に関する分析がしやすくなります。
とくにS2P・P2Pタイプの購買管理システムなら、情報が一元化され、発注先検討の機会を増やせたり、担当者が変わったときにも資料探しをしたりしなくてよくなるでしょう。
購買に関連する業務がしやすくなる・わかりやすくなることで、業務負担を軽減できるはずです。
業務効率の改善による生産性向上にあわせて、業務の無駄を削減し残業が減れば、人材の定着と人件費削減も狙えます。
膨大な購買業務に圧迫されている企業は、導入するメリットが大きいといえるでしょう。
属人化を防げる
購買管理システムで購買状況を共有・管理することで、属人化を避けられます。
担当者が変わっても購買管理システムに詳細情報が残っているため、個人のスキルや経験によって業務が左右される可能性を減らせるでしょう。
また属人化を防ぐ仕組みを整えておくことで、業務フロー改善や休日取得がしやすくなる効果が期待できるため、従業員にとって働きやすい職場環境も作れます。
購買管理システムを導入する際にデメリットになり得る点
購買管理システムを導入することで、多くの企業が抱える悩みを解決できる豊富なメリットを得られます。
しかし、導入に際しては把握しておくべき注意点もふたつあるため、慎重な検討が必要です。
導入コストが発生する
システムを導入すると、規模・機能に応じて、まとまったコストがかかります。
テスト導入だけならコストはかかりませんが、試用期間が終われば、数百~1,000万円以上のコストがかかる場合もあります。
事業規模や取引先数によっては、導入メリットよりもデメリットのほうが大きくなる可能性もあるため、慎重な検討が必要です。
システム操作の方法に慣れなければならない
購買管理システムは多くの従業員がアクセスする基幹システムのため、直感的な操作ができる設計のものも多くなっています。
しかしIT機器に不慣れな方がいる場合は、慣れるまで時間がかかります。
操作が難しいと感じる方が多ければ、社内研修の場を設ける必要性も出てくるでしょう。
購買管理システムを導入しても、従業員が操作しにくいと感じ、操作に時間と手間がかかる場合は逆効果となってしまいます。
テスト導入中に積極的に使ってもらい、扱いやすさを確認しておく必要があるでしょう。
購買管理システムの選び方
購買管理システムは、多くの企業が抱える「購買業務の膨大さ」や「手間・コスト削減の難しさ」を解決できるシステムです。
しかしどのようにシステムを選べばメリットを最大限に獲得できるかわからず、お困りの方もいらっしゃるでしょう。
購買管理システムの選び方として、下記の3つをご紹介します。
- システム間・部門間の連携を確認する
- 自社の事業にあったシステムを導入する
- ベンダーの対応状況を確認する
システム間・部門間の連携を確認する
購買管理システムは、購買管理システムのみで活用するケースは多くありません。
在庫管理システム・会計システム・生産管理システム・販売管理システムなど導入済みの基幹システムがある場合は、システム間で連携できるかを確認しておく必要があります。
また、過去データも反映できるかをあわせて確認しておくことも大切です。
一方、これから基幹システムを新しく導入する場合は、ERP(Enterprise-Resource-Planning:統合基幹業務システム)を導入するとスムーズです。
自社の事業にあったシステムを導入する
購買管理システムは、導入方法やシステム内容に応じて種類が分かれています。
それぞれ導入費用やできることが異なるため、どのタイプの購買管理システムを導入したいか、イメージをはっきりさせておきましょう。
導入方法の種類|オンプレミス型・クラウド型(SaaS)
購買管理システムは、オンプレミス型と、SaaSとも呼ばれるクラウド型に分けられます。
オンプレミス型は、自社でサーバーを契約してインストールし、管理する方法です。
システム設計の自由度が高い一方で、導入費用やセキュリティ対策費用などのコストもかさむ傾向にあります。
なかには導入時に1,000万円単位で必要になる場合もあるため、予算を確保できるか確認しておきましょう。
SaaS・クラウド型は、クラウドサーバー経由で利用する購買管理システムをいいます。
インターネット回線を通じてサーバーへアクセスできれば、どこでも情報の更新や編集ができるため、柔軟な働き方が可能です。
加えて自社でサーバーを構築しないためスムーズ、かつ低予算で導入できます。
ただしクラウド型は、セキュリティ環境や通信環境はベンダーに依存するため、思わぬ通信障害に対応しにくい点がデメリットです。
それぞれ予算や利用方法が異なるため、メンテナンスができる人材の有無、確保できる予算額、利用を想定するシーンなどを考慮して選びましょう。
システム内容の種類|ワンストップ型・業務特化型など
購買管理システムの種類としてS2P・P2P・P2O・カタログ購買特化型の4種類があるとご紹介しました。
しかしほかにも、切り口を変えればさまざまな種類分けが可能です。
例えば、業界・業務特化型のシステムが挙げられます。
特定の業界で使われる特殊資材に対応しているもの、派遣契約・業務委託契約・サブスクリプション契約などの特殊契約に対応しているものなども登場しています。
また、使用方法でも、そのまま使えるシステムとカスタマイズを前提にしたシステムとに区分が可能です。
オンプレミス型ほどではないものの、自由度が欲しい場合はカスタマイズ型のシステムを選ぶとよいでしょう。
自社で扱う物の種類や使い方によって適したシステムが異なるため、どのような購買管理システムを導入したいかを把握しておく必要があります。
ベンダーの対応状況を確認する
新しいシステムを導入した際は、操作に関する不明点を問い合わせすることもあるでしょう。
また慣れてきた頃でも、通信の不具合やイレギュラーが生じる可能性があります。
その際に迅速に対応できるよう、ベンダー側が電話対応しているか、サポート時間はいつからいつまでかなどを確認しておきましょう。
さらに、テスト導入を通じて「担当者の説明がわかりやすいか」「仮に自社で事業変更や事業拡充があった場合に対応してもらえるか」などを確認しておくことも大切です。
購買管理システムを導入する流れ
導入する購買管理システムを選定できたら、実際に導入するまでにはいくつかの手順を進めていく必要があります。
例えばSaaS・クラウド型の場合は、下記の流れで話を進めていくことになるでしょう。
- ベンダーへの問い合わせ
- ベンダーと打ち合わせ、要望やイメージを伝える
- 価格・システム内容などについて交渉
- テスト導入、社内での審議
- 導入準備
- 利用開始
1日・2日で導入できるわけではないため、SaaSでも1~2ヶ月の準備期間をみておくと安心です。
またオンプレミス型は、導入までにより多くの時間を要するため、できるだけ早い段階でベンダーへ相談するのがよいでしょう。
購買管理システムなら「intra-mart」をご検討ください
購買管理システムの導入をご検討中の方は、ぜひ「株式会社NTTデータイントラマート」の「intra-mart Procurement Cloud」をご確認ください。
「intra-mart Procurement Cloud」は、購入業務全般におけるDX推進をトータルにサポートする、SaaS・S2Pタイプの購買管理システムです。
ここから、簡単に機能と導入実績についてご紹介します。
「intra-mart Procurement Cloud」の機能
「intra-mart Procurement Cloud」には、6つの機能が備わっています。
企業の規模、業界にかかわらず、広く活用できる機能を搭載している購買管理システムです。
- 調達管理機能…見積もり・契約締結に必要な機能
- 購買管理機能…購買計画に基づいた発注・検収・支払いまでを進める機能
- カタログ購買機能…定期購買する物品を購入する機能
- 支払管理機能…請求・決済業務に必要な機能
- 販売管理機能…取引先が請求書作成、入金などをする際に便利な機能
- 金融EDI機能…全国銀行協会が定めるZEDIに対応
「intra-mart Procurement Cloud」は、テスト導入が可能です。
また「1部署1品目から」「月額50万円から」「最短2週間から」などのスモールスタートにも対応しています。
「購買管理システムを導入したいけれど、数百万円以上の予算を一気に費やすのも抵抗感がある」という場合も、導入しやすいシステムです。
「intra-mart」の導入実績
「株式会社NTTデータイントラマート」の製品は、日本国内で9,500社以上に導入されています。
主な導入企業は、西武鉄道株式会社・ヤフー株式会社・全日本空輸株式会社です。
例えば大阪府四條畷市さまでは「intra-mart Procurement Cloud」を、入札にともなう調達関連業務のデジタル化として採用していただきました。
手続きのために来庁する手間を減らすとともに、紙媒体のやりとりを削減することで、職員と事業者間で交わされる連絡時間の30%短縮を実現しています。
加えて事業者が担っていた郵送コスト、収入印紙代金、交通費や時間などの負担を解消できました。
「intra-mart Procurement Cloud」や「株式会社NTTデータイントラマート」製品の導入実績は「導入事例」から、「intra-mart Procurement Cloud」に関しては「intra-mart Procurement Cloud」から詳細を確認できます。
購買業務の効率化を図りたい方は、ぜひ詳細をチェックしてみてください。
まとめ
購買管理システムは、購買に際して必要なプロセスをスムーズに進め、より適切に管理するために役立つシステムをいいます。
取引先の多い企業さまや購買回数・品目の多い企業さまの場合は、導入することで効率アップにつながるでしょう。