購買・発注・調達の違いとは?5項目に分けて徹底解説!

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購買、発注、調達の違い
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企業が生産活動を行う際、商品やサービスの購入が欠かせません。

 

このように商品やサービスを購入することは「購買」「発注」「調達」など、さまざまな呼び方があります。

この3つはそれぞれ似たような意味で使われ、混同されがちですが、実は概念が異なる言葉です。

 

この記事では、購買・発注・調達とはどのようなものなのかを解説したうえで、違いは何なのかをご紹介します。

また、それぞれに存在するリスクや問題点と具体的な改善方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。


「発注」「購買」「調達」とは?

「発注」「購買」「調達」はそれぞれ購買・調達業務で使用される言葉ですが、意味が異なります。

 

本章では、購買・調達業務における「発注」「購買」「調達」の意味をご紹介します。

発注とは

発注とは、必要な商品やサービスなどを販売している会社や取引先に対し、注文することを指します。

 

例えば、自社で使用するコピー機が欲しい場合、OA機器専門店や販売店などに発注して製品を手に入れます。

 

また、出版社がライターに原稿を依頼することも、発注にあたるといえるでしょう。

 

このように、発注は商品やサービスを注文することを指し、ビジネスのあらゆる場面で使用されています。

購買とは

購買とは、企業活動に必要なものを取引先から購入することを指します。

 

購入の対象となる物品は、一般的に「直接材」と「間接材」の2種類です。

 

・直接材:企業活動に必要なもののうち、企業の売上に直接かかわる原材料のこと。生産にかかわる原材料や部品など。

・間接材:企業活動に必要なもののうち、直接材以外の購買品のこと。消耗品や工具など。

 

一般的に「購買業務」と呼ばれる業務は、この2種類を購入する業務を指します。

 

また、物品以外にも役務によるサービスの購入も購買の対象です。

調達とは

調達とは、必要な資材を必要なタイミングで要求者に届けることです。

 

一見購買と同じように感じられますが、調達は要求者に納入するまでの「ヒト」や「カネ」などを管理する業務も含まれることから、調達は購買を含む表現といえます。

 

また、購買の場合は基本的に「買う」ことにより必要なものをそろえますが、調達の場合は「借りる」ことも含まれます。

 

「発注」「購買」と比較すると、より業務が広範囲となり、企業活動に大きな影響を及ぼす業務といえるでしょう。

【実例付き】発注・購買・調達の違いを5項目で解説

発注・購買・調達は言葉の意味が異なるため、その対象範囲や目的、仕事内容などにも違いがあります。

 

本章では、発注・購買・調達の違いを、5項目に分けて解説します。

対象範囲

発注・購買・調達では、注文するものの対象範囲が異なります。

 

 

対象範囲

発注

具体的な発注条件を定めた発注書を作成し、サプライヤーへ送付します。また、注文どおりに納品されたか否かについての確認対応をします。購買における注文の実行に焦点を当てた業務です。

サプライヤーAへ、コピー用紙1,000枚(A4判、500枚複写)を単価100円で発注。

購買

物品・サービスの購入のプロセスを管理します。何を、いつ、どのように発注するのかを決定するほか、顧客に対して価格交渉をおこない、コスト最適化を図ります。

サプライヤーであるオフィス用具の販売店に対して、見積依頼・価格交渉・納期などのスケジュール管理・注文業務。

調達

必要となるもの全てのプロセスを管理して物品・サービス・人材・資金などを確保することです。コストの最適化・リスク管理・持続可能性の観点での対応もおこなう

複数のオフィス用品の事業者から自社に最適な業者を選定し、契約手続きをおこなう。その後、契約条件の見直しやリスク管理など。

 

発注は最も日常的であり、購買によって定められた範囲内での商品購入をおこないます。

購買は、調達によって定められた計画にもとづいた発注・検収・支払いなどが求められます。

 

調達部が全体的に付加価値の高い枠組みを決定し、購買部にて業務の効率化を推進するなど、それぞれが相互にうまく作用することで全体が最適化されるでしょう。

目的

発注・購買・調達では、業務における目的も異なります。

 

 

目的

発注

必要とするものを必要なタイミングで手に入れる

コピー用紙の場合は、補充が必要なタイミングでその都度発注し、即時入手する。その都度、発注の必要性が生じるため、頻度が高い

購買

コスト削減や品質向上など、購買活動全体を通して目的を達成すること

コピー機を導入する際に、複数の業者に見積もりを依頼し、コストパフォーマンスに優れた機種を導入する。発注よりも頻度が低い

調達

事業計画に基づき、必要なものを必要なタイミングで必要な量だけ確保すること

リースやレンタルも含めてコピー機の導入を検討する。購買よりもさらに頻度が低い。設備投資に関しては、数年に1度程度のケースもあり得る

 

すべてのものを注文し手に入れる点では同じですが、最終的な目的が異なるのです。

手続き・フロー

発注・購買・調達は、手続き・フローも変わってきます。

 

 

手続き・フロー

発注

注文書や見積書に基づいて行う

コピー用紙を注文するために注文書を記入・入力して、サプライヤーに送付する

購買

購買計画に基づいて、見積依頼やサプライヤー選定などを行う

発注書を送付する前に、見積もり依頼を送付する。また、必要に応じて、社内稟議書を記入することもある

調達

購買だけでなく、リースやレンタルなども含めて行う(手続きとしては、購買と大きく変わらないが、リースやレンタルの際など、必要に応じて必要な書類をそろえる)

購買とほぼ同じ

 

関係者

発注・購買・調達では、かかわる人も異なります。

 

 

関係者

発注

発注者とサプライヤー(営業部や販売部など、どの部署も発注するケースがあり得る)

購買

購買部門とサプライヤー

調達

購買部門だけでなく、経営層や生産部門なども関わる

 

発注から調達になるほど、かかわる人数も多くなっていきます。

視点

発注・購買・調達では、それぞれ視点が違います。

 

 

視点

発注

個々の取引に焦点を当てている(単価・スピード・数量・品質など)

購買

企業全体の購買活動に焦点を当てている(費用対効果)

調達

企業全体の経営活動に焦点を当てている(企業全体の利益向上につながるか否か)

 

視点から考えると、調達はより経営層に近い視点を持っているといえるでしょう。

発注・購買・調達の違いが混同されがちな理由

実際の現場では、それぞれの用語が混同されて使われていることも多くなっています。

 

例えば、購買業務のことを「発注業務」と呼んでいたり、調達業務のことを「購買業務」と呼んでいるケースも多々あります。

 

また、企業によっては購買と調達のことを「購買調達」とひとくくりにして呼ぶこともあるようです。

 

そのため、実際に使用する場合は、自社の場合はどのような業務を発注・購買・調達と呼んでいるのかを確認することで、コミュニケーションエラーが起こることを防げるでしょう。

発注・購買・調達のそれぞれに存在するリスクや問題点

発注・購買・調達は、それぞれリスクや問題点が存在します。

 

本章では、発注・購買・調達のそれぞれに存在するリスクや問題点をご紹介します。

納期遅延・品質不良

納期遅延・品質不良のリスクは、発注・購買・調達のすべてにおいて起こりえます。

 

発注の場合はスパンが短い分、欠品や不良品が生じた際に業務が滞る可能性があるでしょう。

 

一方、購買や調達で遅延が生じた際には、経営全体に大きな影響が及ぶリスクもあるので注意が必要です。

コスト超過

コストが予算を超えるケースも、発注・購買・調達のすべてに起こりえます。

 

発注は日常業務となるため、気がつかないうちにオーバーしているケースが考えられます。

そのため、定期的な確認と見直しが必要です。

 

購買や調達は1回の発注額が大きいため、オーバーした場合の影響が大きく、一度のミスが企業に大きなダメージを与えることもあります。

情報漏えい・コンプライアンス違反

発注・購買・調達それぞれに、情報漏えいやコンプライアンス違反のリスクがあるため、注意が必要です。

 

発注の場合は、メールやFAXの送り間違えによる情報漏えいの可能性が考えられます。

 

調達の場合は、事業全体に関連するため、調達の事実が外部に流出することで大きなトラブルにつながるリスクがあります。

そのため、慎重に業務を進めていく必要があるでしょう。

業務効率低下

業務効率低下は、発注・購買・調達に共通して起こりうる問題です。

 

以下で、どのようなトラブルが生じる可能性があるかをご紹介していきます。

本社で拠点や工場の購買状況が把握できていない

本社で拠点や工場の購買状況が把握できていない状態であれば、改善することでコスト削減・業務効率化につなげられる可能性があります。

 

本社で拠点や工場の購買状況が把握できている状態で例えると、A工場で過剰在庫が発生した場合に、同じ資材を使っているB工場に移動するといった対策ができます。

 

しかし、管理体制が整っていなければ、過剰在庫になったものがそのまま劣化し、最悪の場合大量廃棄につながってしまう可能性があるでしょう。

 

特に、食品メーカーの場合は原材料にも賞味期限があるため、無駄な大量廃棄が起きないよう、購買状況が把握できる体制を整えておく必要があります。

社内に統一の購買ルールがなく効率的な取引ができていない

社内に発注に関するルールがなく効率的な取引ができていないと感じるのであれば、改善すべきでしょう。

 

なぜなら、購買ルールを統一することで、ボリュームディスカウントが受けられる・内部統制が図れるといったメリットがあるためです。

 

例えば、購買を拠点ごとに行っている場合、A拠点とB拠点が同じものを発注しているにもかかわらず、異なるサプライヤーで発注しているケースが挙げられます。

 

この場合、その物品を同じサプライヤーで発注するルールに変更することで、1回の発注数が多くなり、これまでよりも有利な条件で取引できる可能性があるでしょう。

業務が属人化してしまっており担当者がいないと業務が滞る

購買や調達は、それぞれの担当者が取引先を管理するケースが多くなっています。

 

そのため、発注方法や仕入れる際の取引条件、サプライヤーとのやり取りの内容を各担当者しか把握しておらず、業務が属人化しやすいという特徴があるのです。

 

これにより、体調不良や退職などで担当者がいなくなってしまった場合、購買・調達業務に支障が発生し、最悪の場合、生産体制に影響が出てしまうこともあります。

 

企業の規模が大きくなるほど、企業に与える影響も大きくなってしまうため、業務の標準化を図る対策が必要です。

契約トラブル

契約内容に瑕疵・問題があり、サプライヤーとの間トラブルが生じるケースも考えられます。

 

発注の場合は、上層部が締結した契約内容に問題が発生した際に、業務が進まなくなってしまうことがあるでしょう。

 

購買・調達の場合は、1つの契約トラブルが発生すると企業活動が止まってしまう可能性もあります。

そのため、リスクを分散する方法として複数のサプライヤーと契約するのも1つの手です。

サプライヤーの倒産リスク

発注・購買・調達の業務に従事している場合は、サプライヤーの倒産リスクは常に考慮しておかなければなりません。

 

発注・購買・調達は、サプライヤーがあって始めて成り立つものですが、相手も事業で行っているため、経営が悪化して倒産してしまう可能性があることを常に頭に入れておく必要があるでしょう。

 

ほかにも、サプライヤーの担当者が頻繁に変わる状態であれば、内部で問題が発生している可能性が考えられます。

また、サプライヤーの決算書を確認することで、倒産の予兆に気づくことができるかもしれません。

 

このように、サプライヤーの状況はさまざまな要素から確認できます。

契約しているサプライヤーの動向が知りたい場合は、上記の方法で探ってみてください。

人材・資金の調達リスク

調達においては、人材・資金の調達リスクがつきまといます。

 

人材・資金を調達し、うまく事業が回れば問題ありませんが、もしうまくいかなかった場合には、多くの人件費や金利だけが流れてしまうという事態に陥ってしまいます。

 

もちろんミスばかりを恐れては何もできなくなってしまいますが、調達を担当する場合はこのようなリスクがあることを理解しておきましょう。

発注・購買・調達業務の課題を解決する3つの方法

発注・購買・調達業務は、企業を運営するうえで重要な業務なため、リスクや問題点をそのままにしておくと、さらに大きな問題になってしまいます。

 

そこで本章では、発注・購買・調達業務の課題を解決する3つの方法をご紹介します。

業務プロセスを見直す

発注・購買業務の課題を解決するには、各プロセスの現状を洗い出し、無駄を省いたり、改善するように取り組む必要があります。

 

そのため、まずはしっかりと現状を把握するところから始めなければなりません。

 

ただし、企業の規模が大きくなればなるほど、業務にかかわる人員や商品数も増えるため、課題の解決に時間がかかってしまう傾向があります。

 

課題を一つひとつ洗い出し、現状と向き合いながら、地道に解決に向けて動いていく必要があるでしょう。

発注・購買業務に関するルールを策定する

発注・購買業務の課題を解決する際は、社内でルールを策定するのも効果的です。

 

例えば、発注する際はダブルチェックするというルールを決めれば、誤発注の可能性を軽減できます。

 

また、標準品や推奨購買品などを設定し発注にボリュームをもたせることで、大量発注による割引を受けられる可能性もあるでしょう。

 

企業規模が大きいほど、ルール策定によって得られる恩恵も大きくなる場合があります。

購買管理システムを導入する

購買管理システムとは、購買業務をIT化し、コスト削減・業務効率化に寄与することを目的としたツールのことです。

 

例えば、見積もりや発注・請求書の管理がワンストップで行えるため、業務が効率化されます。

 

また、拠点や部署の購買業務をすべて可視化できるため、会社全体を通しての購買分析も可能です。

 

これにより、購買・調達業務の最適化ができるため、コスト削減につながるでしょう。

 

ただし、製品により使い勝手や機能が異なるため、自社に合うものかを検討したうえで選ぶ必要がある点には注意してください。

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サプライヤーとの取引(契約・見積・受発注・請求・支払)をワンストップで行えるため、業務負担を減らしつつ、業務効率化を図れます。

 

また、支出データを蓄積・見える化できることで支出を最適化し、コスト削減にも寄与します。

 

なお、月額50万円・最短2週間で導入できるため、莫大な予算や長期の導入期間は必要ありません。

 

無償トライアルも実施しておりますので、購買管理システムでの課題解決をお考えであれば、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

購買・発注・調達は、同じ意味で使われることも多い言葉ですが、実際にはそれぞれ意味が異なります。

 

ただ、現場にはそれぞれ慣習があるため、もし使い方が間違っていても「ここではこの意味で使うんだな」と思ってそっとしておきましょう。

 

また、購買・発注・調達にはそれぞれリスクが存在するため、軽減するためにリスク対策を施しておくのがおすすめです。

 

もし、購買管理システムでのリスク対策をお考えであれば、NTTデータイントラマートの「intra-mart Procurement Cloud」をご検討ください。

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