intra-mart Procurement Cloud
SRMとは、サプライヤーとの良好な関係を構築・維持にかかる取り組みを指すことばです。
継続的かつ安定的にビジネスを展開していくため、メーカーでとくに重要視されています。
しかしSRMはすぐにはじめられる取り組みではないため、注意点を把握したうえで、十分な準備のもと取り組むことが大切です。
この記事では、SRMとはなにかについてわかりやすくご紹介します。
あわせて、SRMにおける3つの業務フローやメリット・デメリット、効率的に進める方法についても解説。
SRMについて再度確認し、自社業務の改善につなげたい方は、ぜひご覧ください。
SRM(Supplier Relationship Management:サプライヤー・リレーションシップ・マネージメント)とは、サプライヤー(供給元・購買先)との良好な関係構築と維持にかかる活動をいいます。
サプライヤーの持つ技術力や信頼性を評価し、双方向的に有益な関係構築をしていく取り組みです。
メーカーではとくに、外部企業と接触する機会の多い、購買や調達にかかわる部署で重視されています。
購買・調達部門は、必要な材料を適切な量・納期・数量・質で購買することを主なミッションとする部門です。
他社から購買するのは、自社で製造するノウハウを持たない技術・物品がメインとなるため、購買部の役割は「社外の技術を安定して継続的に購入・利用できる体制を整える」ことともいえるでしょう。
製造に欠かせない社外技術が突然絶たれてしまうと、自社業務へ大きな影響が及ぶため、SRMの取り組みは非常に重要です。
SRMに取り組む際は、3つのステップで進めます。
「サプライヤーの検討」「戦略に基づいたサプライヤーの決定・実行」「振り返り・フィードバック」それぞれをご紹介します。
とくに最初のステップ「サプライヤーの検討」は重要なため、十分な時間と人手を確保して取り組みましょう。
購買したい原材料の特徴を整理し、適切な方向性を決定したうえで、見積もりを依頼するサプライヤーを検討します。
サプライヤーを洗い出す際に確認する主な情報は「戦略」と「原材料の重要性」のふたつです。
原材料の重要性は、主に「供給リスク(供給先が限られているか)」「製造業務における重要性」のバランスから判断しましょう。
供給リスクが低い |
供給リスクが高い |
|
製造業務での重要性が高い |
コストを抑えながら、サプライヤーから必要量を購入する |
サプライヤーと密接な関係を築き、継続的に購入できるよう努める |
製造業務での重要性が低い |
必要なときに必要な量を確保する |
サプライヤーと長期的な供給契約を結ぶといった、関係構築に努める |
供給リスクが高い場合は、製造業務における重要性の大小にかかわらず、関係構築を重視する必要性が高いといえるでしょう。
必要に応じて、共同開発契約を結ぶ選択肢も検討する必要があります。
候補を絞り込めたら、慎重に検討を重ね、適切なサプライヤーを決定します。
契約における条件だけでなく「自社と共通のビジョンを持っているか」「自社のビジョン・目標に共感してくれるか」もあわせて考慮・決定すると、良好な関係を築きやすいでしょう。
サプライヤー選定にいおいては、問い合わせや商談時のやりとりのほかに見積の金額や内容についても大きな判断材料になります。
長期的に良好な関係を構築できそうか、自社の問題を解決してくれそうかを踏まえて決定する必要があります。
サプライヤー選定と関係構築に取り組んだ結果を踏まえ、コミュニケーション上・経理上などの改善効果を確認します。
「どれくらいのコスト・納期を削減できたか」「トラブル件数はどのように変化したか」などを確認できるデータをそろえておきましょう。
サプライヤーとの取引で問題解決に至らなかった場合は、取引先企業を変更するだけでなく、社内におけるSRMの取り組み方も見直す必要があります。
PDCAサイクルに基づき、徐々にSRMの取り組みを最適化していきましょう。
外部企業と接する部署では、とくにSRMが重視されています。
SRMを除外し、単純に「安く、すぐに納品してくれるサプライヤーと契約する」だけでは問題が生じるためです。
SRMの重要性や、取り組む目的・メリットとして、主要な下記の3つを確認しておきましょう。
自社にない技術・購買経路を持つサプライヤーと良好な関係を築くことで、より良質な商品製造が可能になります。
Win-Winの関係性を築いて相互協力すれば、商品製造においてサプライヤーの強みを最大限に発揮してもらえるでしょう。
互いの持つ技術を最大限に活かしてより良質な商品を作るためには、透明性がある、強固な関係性を築く必要があります。
SRMの際は、明確な判断・評価基準を設定したうえでサプライヤーを選定します。
主観にとらわれない公正な評価ができれば、企業間の関係維持によい効果をもたらすでしょう。
もしサプライヤーの選定基準があいまいなまま選定をはじめた場合、評価者の主観や考え方によって取引先の評価にばらつきが生じてしまうはずです。
主観的な評価しかできなかったり担当者によって評価・対応がばらついていたりすれば、サプライヤー側は不満に思い、関係性が悪化するリスクも生じるでしょう。
長期的に取引していくサプライヤーを選定する場合は、SRMによって公平・公正な評価体制を築いておくことが重要です。
SRMによってサプライヤーに関連する情報を一元化しておけば、過去の取引品目・価格・取引理由などをスムーズに確認できるようになります。
価格変動時のデータを確認すれば、影響を与えた要因や、サプライヤーが価格転嫁に踏み切る傾向の把握が可能です。
各種データから価格変動による利益率圧迫のリスクを想定しやすくなるため、原価率が利益率に大きく影響する製造業において、SRMは非常に重要な取り組みといえるでしょう。
SRMへ着手するにあたり、あらかじめ準備しておかなければならないことがあります。
短期間で対応できることではないため、あらかじめ準備期間を設け、各部署との調整業務にあたる必要があるでしょう。
「評価体制を整えておく必要がある」と「社内コンセンサス獲得の体制を整えておく必要がある」のふたつをご紹介します。
サプライヤーを比較・検討する際には、チェックリストをもとにした、公平な評価をする必要があります。
明確な基準を定めないまま評価をはじめてしまうと、主観による影響を避けられなくなります。
あらかじめ下記に挙げるような、サプライヤーに対する明確な評価体制を作っておく手間と時間が必要です。
こうしたチェックリストを作成してはじめて、安定したサプライヤー選定が可能になります。
また上記のほかにも「自社が重視したいことに共感してもらえるか」「戦略の方向性が合致するか」「物品の供給リスクはどれくらいあるか」などを踏まえ、適切な評価項目を作成しなければなりません。
たとえばSNSの投稿における問題の有無(センチメント分析)や担当者からのレスポンス速度など、必要に応じて評価項目を付け加えましょう。
ただし、SRMに際して評価体制を設定すると、いままで運用してきた評価体制を抜本的に見直す必要も出てきます。
現場が混乱しないよう、十分な準備期間とサポート体制を設ける必要があるでしょう。
社内コンセンサスとは、主に「社内における合意」「一致した見解」を示すことばです。
たとえば、自社の要求項目を整理する際、製造部門と販売部門とで意見が一致しない可能性もあるでしょう。
自社における戦略の方向性や、社員・部門それぞれの役割などを広く共有し、多様な意見をまとめて統一的な見解(社内コンセンサス)をスムーズに獲得できる体制を整えておく必要があります。
SRMにおいては、購買の金額・頻度・後の工程への影響などをふまえて、どの部署が主導で進めるのかを検討するのもよいでしょう。
部門間のコミュニケーションを取りやすくするツールを活用したり定期的に意見交換をしたり、社内コンセンサス獲得に向けた取り組みが必要です。
効率的にSRMを進める場合、SRMシステムの導入を検討するのがおすすめです。
SRMシステムは、サプライヤー評価の効率化や、サプライヤー選定の最適化を図るのに役立つシステムをいいます。
評価に必要なデータを一元管理できるため、評価にかかる手間と時間を削減でき、業務の遅滞を防ぎやすくなります。
また分析・レポート機能を備えたSRMシステムを導入すれば、さらに効率的なSRMが可能です。
システムの導入によって時間・人材に余裕ができれば、さらなる良好な関係構築の取り組みや人材育成などもできるようになるでしょう。
くわえて、SRMシステムによって情報が共有されることで、サプライヤー管理において属人化が生じるリスクも回避できます。
社内での人材育成や、属人化による偏った評価が下されるリスクを回避するためにも、SRMシステムが役立つでしょう。
SRMシステムの基本機能は、下記の10種類が挙げられます。
まずは、基本機能を網羅したSRMシステムを選ぶと安心です。
SRMシステムを選ぶ際には、チェックする重要性の高いポイントを把握しておき、自社にあったものを選びましょう。
ここでは、SRMシステムを選ぶポイントとして下記の6項目を簡単にご紹介します。
SRMシステムには、サプライヤー評価に特化したタイプと、サプライヤーのセグメンテーションやリスク管理業務もカバーできるタイプの2種類があります。
「サプライヤー評価を効率化したい」「購買におけるコスト削減を実現したい」「購買におけるセキュリティリスクを最小限に抑えたい」などの場合は、サプライヤー評価特化型がおすすめです。
一方、サプライヤー評価にくわえて、部品・材料の種類や重要性に応じた区分け、リスク管理体制の評価もカバーしたい場合は後者を選びましょう。
サプライヤーに関連する情報とその評価業務もまとめてシステム化できるため、業務の効率化が狙えます。
「SRMシステムによってどのような課題を解決したいのか」を明確にしたうえで比較・検討することが重要です。
導入方法に着目した場合、SRMシステムにはクラウド型・パッケージ型(ソフト型)・オンプレミス型の3種類があります。
クラウド型は、コストを抑えながらスムーズに導入できる、もっとも導入ハードルの低いタイプです。
パッケージ型はクラウド型よりも導入コストがかかるほか、自社でセキュリティ対策をする必要があります。
オンプレミス型はパッケージ型と同様にコストがかかるうえ、追加でセキュリティ体制の構築・保守管理・メンテナンスが必要です。
さらにSRMシステムには、中小規模向け・大規模企業向けのものがあり、対応できる規模によってかかる費用が異なります。
必要なコストと自社での対応がそれぞれ異なるため、予算内に収まり、かつ無理なく運用していけるSRMシステムを選びましょう。
評価項目の設定方法やカスタマイズ性に注目して選ぶことも大切です。
「設定した評価項目をすべて登録しきれるか」「評価に必要な数値・実績を可視化できるか」「独自の視点も設定できるか」などを確認しておきましょう。
SRMシステムのほか、購買管理システムやERPシステムなど、複数のシステムを導入しているケースも少なくありません。
導入したSRMシステムが既存システムと連携できなかった場合、情報の連携・一元化ができず、円滑に業務が進まなくなる可能性もあります。
くわえて既存システムと連携できない場合、SRMシステム導入に際してデータ移行の業務が生じ、担当者の負担が大きくなる可能性も無視できません。
より正確で効率的なSRMを実現したい場合は、ほかのシステムと連携できるSRMシステムを選ぶ必要があります。
SRMシステムには、自社・サプライヤー双方の機密情報を登録します。
そのため、万が一でも情報漏洩があれば関係性が崩れてしまううえ、企業としての信用性にもかかわってしまうでしょう。
クラウド型SRMシステムを検討する際は、ベンダーのセキュリティレベルに依存するため、体制がしっかりしているかを確認する必要があります。
パッケージ型・オンプレミス型のSRMシステムは、自社で十分なセキュリティ体制の構築ができる人材がいるか、メンテナンス業務も対応できるかを確認しておきましょう。
システム導入に際し、設定・運用面で不具合が生じる可能性もあります。
また導入時はスムーズに運用できても、のちのちトラブルが生じたり、カスタマイズの必要性が出てきたりする場合もあるでしょう。
そうしたタイミングでスピーディに確認が取れるよう、サポート体制を確認しておくことも大切です。
「ベンダーのサポートの対応時間が、自社でSRMシステムを利用する時間をカバーできているか」「休日の設定はどうなっているか」などの基本情報をチェックしておきましょう。
またSRMシステムの導入に際して試用期間が設けられている場合は、その間にサポートを利用しておき「担当者の説明がわかりやすいか」「連絡手段がなにか」を確認しておく必要があります。
調達・購買・生産に際しては、多様で膨大なデータを扱います。
そのため、SRMを目的として、複数のシステム導入を検討する場合もあるでしょう。
調達・購買から販売までに必要なデータを集約し、業務を効率化したい場合には、ぜひ「intra-mart Procurement Cloud」をご検討ください。
「intra-mart Procurement Cloud」は購買・調達業務を効率化することに特化したクラウドシステムです。
主な機能は以下のとおりです。
・見積依頼:複数のサプライヤーに対して同時に見積を依頼する機能
・発注書:サプライヤーに電子発注書を送付する機能
・請求書:サプライヤーからの請求書の受領や社内での承認と支払の手続きを電子化で対応可能とする
・カタログ購入:購入頻度の高い商品のカタログを作成し、発注者・受注者の双方の負担を軽減
これらの機能により、ワンストップでサプライヤーとの手続きをスムーズに進められます。
関連部門の業務効率化やペーパーレス化に大きな影響が得られるでしょう。
また「intra-mart Procurement Cloud」は、1部署1品目からのスモールスタートや、無償トライアルにも対応可能です。
システム導入後にきちんと扱えるか不安な方も、ぜひ「intra-mart Procurement Cloud」をお試しください。
SRMとは、サプライヤーと良好な関係を構築・維持するための取り組みをいいます。
製造業務において双方が最大限のパフォーマンスを発揮するため、非常に重要な手法です。
SRMの目的を把握し、効果的な取り組みができるよう、社内システムの整備や社内コンセンサスを獲得しやすい体制構築などを進めておきましょう。