調達物流とは?他領域との違いや主な業務・課題と解決方法を解説

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目次

物流には5つの領域があり、調達物流は物流システムの一番川上にあたる部分です。

つまり、調達物流はプロジェクトの開始に大きな影響を持つ物流である、といえるでしょう。

 

本記事では、調達物流について主な業務から代表例をご紹介したうえで、課題と解決方法を解説しています。

調達業務にこれから関わる方や、調達物流における効率化やコストカットを目指したい方は、ぜひご覧ください。


物流の5つの領域

物流とは、物的流通の略です。

商品を企業から消費者へ届ける過程であり、以下の5つの領域に分かれています。

 

・調達物流

・生産物流

・販売物流

・回収物流

・消費者物流

 

調達物流

調達物流とは、生産に必要な原材料・資材の調達・工場へ運び込む際に発生する物流活動です。

サプライヤーから工場への輸送だけでなく、工場間の輸送や、工場から倉庫への輸送も含みます。

 

調達物流は、サプライヤー側が主導権を握って資材の取引を行うことが一般的でしたが、近年ではメーカーが主導権を持って取引する傾向が強まっています。

購買側が主導権を持つ傾向が強まった背景にあるのは、安定供給の確保・コスト削減・品質向上などを目指していることです。

生産物流

生産物流とは、調達した資材や部品を自社の工場内や支社・倉庫へ運ぶ際に発生する物流活動です。

「社内」「支社」「工場」「倉庫」間の移動は、すべて生産物流となります。

 

例えば、工場内や各工程間で加工前の部品を加工ラインへ運んだり、完成品を検査場所へ運搬したりするなどが該当します。

販売物流

販売物流とは、製造された商品を消費者に届ける課程で発生する物流です。

 

具体的には、メーカーの倉庫から販売店・卸元へ運ぶことを指します。

また、倉庫から直接消費者へ商品を届ける際に発生する物流も販売物流に含まれます。

回収物流

回収物流は、「静脈物流」の1つです。

 

静脈物流(リバースロジスティクス)とは、消費者から生産者へ流れる物流を血液の流れに例えた呼称です。

生産者から消費者へ流れる物流は反対に「動脈物流」と呼ばれます。

 

消費者からの返品・回収などにより、商品が物流倉庫やメーカーに送られる際に発生する物流活動を指します。

初期不良やリコールなどでの回収、販売店での売れ残りを回収することも回収物流です。

 

そのほか、「静脈物流」には返品物流と廃棄物流と呼ばれる2つの種類があります。

企業によって内容は異なるものの、一般的に以下のように考えられています。

 

※返品物流…返品対象となった商品を回収するための物流。傷・動作不良・売れ残り・注文ミス・リコール対象などが返品の対象となる。

※廃棄物流…リサイクル不可能な製品を引き取るための物流のこと。

消費者物流

消費者物流とは、消費者個人を取引相手とした物流です。

例えば宅配や引っ越し、トランクルームなどがあります。

 

また、消費者物流はBtoCのみではなくCtoCEC市場でのニーズが拡大・多様化している物流領域です。

そのため、フリマアプリによるCtoCも、消費者物流の1つと考えられています。

調達物流の主な業務

調達物流は、資材や部品などを調達することだけが業務ではありません。

主に、以下の4つが調達物流の業務となります。

 

・調達

・保管

・配送

・調達ルートやスキームの最適化

調達

調達業務では、生産・製造に必要な原材料・資材を国内外から調達します。

調達先が国内の場合はトラックなどの陸送を利用するほか、海外の場合は船や飛行機を利用することもあります。

保管

保管業務では、入荷した資材を一時的に倉庫に保管します。

生産に必要なときに必要な分だけ供給できるよう、工場の生産に合わせてすぐに出荷できるように体制を整えて保管することが主な業務です。

配送

配送業務では、出荷指示にしたがって各配送先に資材・部品を配送します。

在庫管理を徹底しながら、必要な量を必要な分だけ供給することが主な業務です。

調達ルートやスキームの最適化

調達ルートやスキームの最適化を行う業務では、物流コストを削減するためにサプライヤーから倉庫まで、倉庫から工場までの調達ルートを最適化します。

 

例えば、調達する資材や部品が1つではない場合、荷受け作業の負担を減らす必要があります。

そのため、いったん保管する通貨型の物流倉庫を経由し、仕訳してから各所へ配送する方法もあります。

調達物流の代表例

調達物流の業務をよりイメージしやすいよう、調達物流の代表例を2つご紹介します。

 

それぞれのメリットとデメリットもあわせて解説しているため、どちらの方式を採用するか悩んでいる方も参考にしてください。

ミルクラン方式

ミルクラン方式とは、共同配送の1種です。

 

1台の車両で複数の配送元を巡回する集荷方式のことを指し、発注者自身の配送車1台で各サプライヤーを巡回し商品を集荷します。

 

【メリット】

・コスト把握が容易

・調達コスト削減

・環境保全

 

【デメリット】

・配送費は条件により変わる

・集荷時間の調整が難しい

・大型トラック対応不可のケースがある

 

VMI方式

VMIとは、「vender Managed Inventory(=ベンダー主導型在庫管理)」の略であり、ベンダーが顧客の在庫状況を把握して、在庫補充や発注を代行する在庫管理方法です。

 

調達物流におけるベンダーとは、原材料や部品、商品の供給・納品業者を指します。

顧客は、メーカーや卸売業者など、さまざまな企業が該当します。

 

通常は、顧客が使用状況と販売状況を確認したうえで補充と在庫管理を行いますがVMI方式ではベンダーが顧客と事前に合意した在庫レベルや補充ルールに戻づいて在庫を管理します。

 

VMI方式のメリットとデメリットは、以下のとおりです。

 

【メリット】

・欠品の回避

・在庫管理の手間削減

・サプライチェーンの効率化

 

【デメリット】

・初期投資が必要

・情報を外部の事業者に共有するリスク

・ベンダーへの依存

・柔軟性の低下

 

調達物流の課題

調達物流には、物流ならではの課題があります。

企業によって課題は異なるかもしれませんが、大きな課題としては「ドライバーの負担増加」「人手不足」「物流コストの増加」の3つです。

 

これらの課題は、少子高齢化などによる働き手の減少や産油国の情勢悪化など、さまざまな原因によって引き起こされています。

日本国内で発生した事象のみが原因とならないため、課題の解決までに長い時間が必要です。

 

そのため、企業がなんらかの対策を取らなければ改善が進まないまま課題が残されてしまうでしょう。

ドライバーの負担増加

1つ目の課題は、ドライバーの負担増加です。

 

必要なときに必要な分の資材・部品を調達しようとすれば、輸送頻度が増えてしまいます。

輸送頻度を増やせばドライバーの負担が増加し、輸送できる回数に限界が生じてしまうでしょう。

 

また、輸送頻度が増えることにより工場前にトラックが何台も待機するようになれば、渋滞などを引き起こし近隣に迷惑をかけることも考えられます。

 

輸送頻度が増加した場合、生産工場の近くに原材料を保管できる物流センターがあれば、必要なタイミングで工場へ入荷できるため、この課題は解決するでしょう。

しかし、物流センターなどがない場合は課題が解決せず、改善できないままになるかもしれません。

人手不足

2つ目の課題は、人手不足です。

 

運送頻度が高くなればなるほど、人手不足が浮き彫りになります。

 

ドライバーに関しては、長時間労働・荷物の積み下ろしの作業負担・休憩スペースの不足などの労働環境についても問題視されています。

どの業界でも人手不足が問題視されていますが、特に近年はトラックドライバーの人手不足が社会問題化するほど深刻です。

 

物流業界は、長時間勤務やハードな業務のイメージが強いことから、若年層の担い手が減っています。

そのため、労働環境の改善や物流システムの導入により業務負担を減らし、人手不足を解消できるよう各企業が工夫を凝らすことが必要です。

物流コストの増加

3つ目の課題は、物流コストの増加です。

 

運送頻度の増加により、物流コストは増加しています。

さらに近年燃料費が高騰していることも踏まえれば、物流コストの増加は避けられない課題だといえるでしょう。

 

そのため、コストを増加させないためにいかに効率的に進めるかが課題解決のカギとなります。

調達物流における課題の解決方法

人手不足やコスト増加に対応するためには、自社に合った解決策が必要です。

しかし、課題が見えていても有効な対策がわからないこともあるでしょう。

 

そこで、調達物流における課題を解決する4つの方法をご紹介します。

 

・輸送の共同化

・荷受け業務の簡素化

・在庫管理業務のアウトソーシング化

AIによる物流業務の効率化

輸送の共同化

物流コストの増加を抑えて、安定的に納品するための手法の一つが、輸送の共同化です。

 

拠点が近い複数のサプライヤーを積極的に連携し、共同配送の仕組みを構築できないか検討してみましょう。

共同輸送によってサプライヤーのコスト低減が見込める場合は、価格交渉を行い有利な条件を引き出すことが可能です。

 

さらに購買管理システムなどを活用してサプライヤーと輸送に関する情報を共有することで、連携を強化して効率的な調達物流を実現できます。

荷受け業務の簡素化

荷受け業務を簡素化して荷受け担当者の負担を軽減することは、ミスの軽減・仕入れ数量の増加・コスト削減などにつながります。

 

具体的には、サプライヤーに納品時の梱包方法やラベル表示の標準化などを依頼することで入庫作業を効率化できます。

 

サプライヤーに対して上記の交渉をするには、日頃からの連携強化が欠かせません。

システムの導入などによる情報共有のプラットフォームの活用や物流改善のためのミーティングの開催などを実施しましょう。

 

また、双方がスムーズに打ち合わせをするためには、社内の関係部署のスタッフ同士での情報共有・書式の統一・ルールの一本化など物流の仕組みを標準化することも重要です。

在庫管理業務のアウトソーシング化

人手不足の解決には、在庫管理業務のアウトソーシング化が有効です。

 

在庫管理業務をアウトソーシング化すればコストを削減できるほか、コア作業に時間を割けられます。

仮に、物流のトラブルなどによる問題が発生したとしても、アウトソーシングをうまく活用できている場合は、必要な箇所の対策に意識を集中させられるでしょう。

 

ただし、アウトソーシング化をする際には、自社で在庫管理のノウハウが蓄積されにくいという側面に注意する必要があります。

AIによる物流業務の効率化

AIを活用することにより、需要予測の精度向上や輸送ルートの最適化など、サプライチェーン全体を効率化できる可能性があります。

 

物流にAIを導入することで、ドライバーの人手不足の解消や、在庫の適正化にもつながる可能性があります。

 

ただし、AIシステムの導入には高額な費用が発生するほか、導入や保守に高度な専門知識が必要とされる点に注意が必要です。

AIの活用範囲や活用法の切り分けなど、専門業者に相談したうえで、検討するとよいでしょう。

調達物流に役立つ購買管理システムの機能

調達物流の課題解決には、購買管理システムの活用もおすすめです。

 

購買管理システムとは、契約・見積・受発注・請求・支払いに至るすべての取引をワンストップで実施可能なシステムです。

購買管理や販売管理をはじめとしたさまざまな機能を搭載しており、導入することで業務コストの削減・品質の確保・内部統制・ガバナンス強化など、企業の利益の最大化を目指せます。

 

この章では、intra-mart Procurement Cloudを例に、調達物流に役立つ購買管理システムのポイントをご紹介します。

購買管理

購買管理システムの「購買管理」は、発注から検収・支払いまでの業務における効率化と工数を削減する機能です。

発注書や検収書の作成・納品書の管理を自動化することにより、関連部署の担当者はコア業務やほかの業務に集中できます。

 

intra-mart Procurement Cloudでは、承認フローの自動化・可視化・承認履歴の管理も可能です。

承認状況が見えやすくなるため、承認プロセスにおけるボトルネックの解消に役立ちます。

 

発注管理

購買管理システムの「発注管理」は、発注依頼の作成・発注履歴の追跡などができる機能です。

正確な発注情報をシステム上で管理することで、発注の漏れや重複防止に役立ちます。

また、正確な情報をリアルタイムで確認できることから、在庫の適正化にもつながるでしょう。

 

intra-mart Procurement Cloudにも、発注業務全般を管理する機能を搭載しています。

さらにサプライヤーポータルとの連携により発注状況をリアルタイムに共有し、納期についての回答を受けたり、納品状況を確認したりするなどの作業がスムーズに行えます。

納期管理

購買管理システムの「納期管理」は、発注した資材や部品が納期までに納品されるか現在のステータスを可視化する機能です。

 

ステータスの可視化だけでなく、納期が遅れる場合は情報を素早くシステム上で関係者と共有することもできます。

 

intra-mart Procurement Cloudでは、サプライヤー側も発注状況や現在のステータスを閲覧可能です。

現在のステータスと照らし合わせながら、双方で納期を管理することで、納期管理の確実性を高められます。

 

チャット機能

購買管理システムの「チャット機能」は、サプライヤーと連絡ができるチャット機能です。

 

システム上のチャット機能でやりとりをすることで、調達に関しての情報をすべてシステム上に一本化することができます。

 

intra-mart Procurement Cloudのチャット機能は、購買管理システムと一体化しているため、発注や納品の状況と紐づけてコミュニケーションを取ることが可能です。

過去のコミュニケーション履歴の確認や担当者不在の場合の連絡などがスムーズに対応できるため、迅速な状況の把握に役立ちます。

まとめ

調達物流は、生産をはじめとした企業活動を支える重要な役割を担っています。

 

しかし、ドライバーの負担増加・人手不足・物流コストの増大などを背景とした課題が従来以上に指摘されるようにもなっています。

 

課題の解決のためには、輸送の共同化・荷受け業務の簡素化・在庫管理のアウトソーシング・AIの活用などの検討が必要です。

 

課題の解決のためには、システムの選定・導入も効果的です。

intra-mart Procurement Cloudには、調達物流の課題を解消するための機能を搭載しています。

1部署1品目からのスモールスタートや無償トライアルにも対応しているため、興味のある方はぜひご相談ください。


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