intra-mart Procurement Cloud
新規開拓や利益確保のためには、価格交渉が欠かせません。
しかし、価格交渉のコツがつかめていないと、サプライヤーに対して必要な情報を伝えることが不可欠です。
そこで本記事では、見積などの価格交渉における「準備段階」「交渉中」「交渉後」のポイントと全体的な値切りのコツを、段階別に解説します。
自社のコスト削減を実施したい方は、ぜひ参考にしてください。
交渉とは、利害関係者が生じている両者が話し合いによって受け入れ可能な諸条件を導きだし合意に達することです。
つまり価格交渉とは、要求と回答との単なる折り合いや利益のカットといった妥協であってはならず、あくまでも技術的な解決策を指し、目標価格の実現を図ることが目的となります。
【交渉における理想のゴール地点】
・信頼関係の構築+ベストな取引条件の取得
・Win-Winの関係
価格交渉を行う場合、以下の流れでプレゼンテーションを行い、目標を共有化して交渉を進めます。
価格交渉の場では、自社の意見を通して値切りを行うのではなく、取引相手の話を聞きつつ両者が妥当であると判断できるゴール地点に着地することが重要です。
そのため、常に取引相手の立場や状況を意識するとよいでしょう。
交渉するうえでの心構えは、以下の6つです。
適切な価格で長期間良好な関係を保つためにも、常に意識してください。
・交渉相手の立場に立つ
・常に交渉目的へ立ち戻る
・時間を常に意識する
・交渉相手との「暗黙の共通ルール」を意識する
・あきらめない
・固定概念を持たない
交渉スキルをアップさせるためには、ロールプレイングや交渉スキル評価の実施、見積取得レベルを磨くことが必要です。
ただし、人によっては適している方法が異なることもあります。
いくつか試したうえで自分に合った方法を見つけましょう。
ロールプレイングとは、実際の場面・状況を想定して疑似体験を通して研修を行う手法のことです。
座学だけでは不足しがちな経験値を補い、現場での実践力やスキル・知識を習得できます。
交渉スキルの評価は、交渉における問題点・改善点を探すために必要です。
いくら自己流でトレーニングを行ったとしても、自分では気がつけていない問題点が隠れていることもあります。
そのため、ロールプレイングの際にオブザーバーを設けて第三者の目線から評価してもらったり、動画を撮影して表情やしぐさ・話し方などを確認したりして、スキルを評価しましょう。
見積取得レベルとは、見積依頼を行うスキルのことです。
価格交渉は、いつでも対面の場が設けられるわけではありません。
相手が遠距離にいる場合や都合が合わない場合は、メールで交渉を行うこともあります。
また、対面における価格交渉が可能であっても、価格交渉に持ち込むまでの流れや交渉後のやり取りに、見積依頼を行うスキルが必要になります。
対面以外の交渉において必要なのは、見積依頼に必要なビジネススキルです。
例えば、見積の作成を依頼するメールの書き方のスキルが必要になるでしょう。
見積依頼メールではわかりやすく簡潔に書くことも重要ですが、文字として残るからこそマナーや言葉遣いなども非常に重要なポイントとなります。
価格交渉におけるテクニックには、さまざまな手法があります。
例えば、取引相手と良好な関係を築くためのテクニック、こちらが希望する回答を取引相手から引き出すためのテクニックなどです。
WIN-WINの関係とは、世界的なベストセラー「7つの習慣」で使われている言葉です。
価格交渉の場においては相手との信頼関係を築き、「WIN-WIN」といわれるように互いにメリットのある交渉を目指します。
WIN-WINの関係を構築するには、以下のポイントを意識しましょう。
「価格交渉にこのような行動は意味がないのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、取引相手の心を開いて双方が利益を得るには、回り道をすることも大切です。
【WIN-WINの関係を構築するためのポイント】
・何気ない会話や雑談を大切にする
・自己開示をする
・相手の気持ちや感情に配慮する
・有言実行を心がける
・相手に関心を持つ
価格交渉を成功させるためには、相手のニーズや状況を把握するための質問を効果的に活用します。
例えば、オープン・クエスチョンの活用です。
回答の選択肢が多いオープン・クエスチョンを使うことで、相手の考えを引き出せます。
そして、引き出した情報を価格交渉にどのように利用するかを考えましょう。
事前の情報収集で解答がある程度想像できる場合は、回答に対して両者が満足できる対策を立てておくと交渉がスムーズです。
アイスブレークとは、研修前の簡単なゲームや商談・面接の本題に入る前の雑談などです。
相手の緊張をほぐすことで場の空気を作ったり、研修や交渉の効果を高めたりするために使われます。
研修の場では簡単なゲームなどが実施されますが、価格交渉の場においてゲームの実施は時間がかかりすぎるため、適切ではないでしょう。
価格交渉の場では、季節やニュース・旅・天気・仕事・ファッション・食事などのネタを使い、雑談を行うのがおすすめです。
例えば、取引相手が使用しているボールペンをチェックして、メーカーや書き心地について話してもよいでしょう。
取引相手がこだわりを持つアイテムであれば、アイスブレークの効果がより高くなることが期待できます。
なお、取引相手によってはアイスブレークをやらない方がよいこともあります。
話題を振った後に反応が悪ければ、早めの本題に入るとよいでしょう。
「的を射た交渉」とは、肝心な点を確実にとらえる交渉のことです。
交渉における肝心な点とは「取引希望価格」です。
取引希望価格まで持っていくために、さまざまな方法を用いて交渉を行います。
的を射た交渉を行うには、アンカリング効果、ドア・イン・ザ・フェイスなどの交渉術を、状況に応じて使い分けることが必要です。
これらの交渉術を使い分ければ、交渉において肝心な点を確実にとらえることができ、取引相手が納得したうえでの交渉が期待できます。
アンカリング効果とは、最初に提示された印象的な情報がその後の意思決定に影響を及ぼすことです。
例えば食品や日用品の割引シール、「先着順」や「期間限定」の表示などがあります。
価格交渉の場においては、初回提示価格などがアンカーポイントです。
初めに提示された価格が交渉全体の判断基準となるため、工夫して設定すれば交渉中に値上げ・値切りされても希望する価格まで誘導できるようになります。
ドア・イン・ザ・フェイスとは、譲歩的依頼法とも呼ばれる、「返法制の原理」を応用したテクニックの方法です。
例えば、「プレゼントをもらったら何かお返ししないといけない」と考える方も多いでしょう。
たとえあまり親しい仲ではなくても、「○○してもらったのだから」と考えてお礼をする方は少なくありません。
価格交渉においては最初に高めの見積額を提示し、相手の話を聞きながら値引きに応じてください。
そうすると「ここまで値引きしてくれたのだから発注しようかな」という気持ちになることが期待できるため、希望する価格での交渉が成功するでしょう。
感情の起伏が激しい人は冷静さを保ち、感情的な発言は避けてください。
感情的になると冷静な判断ができなくなり、交渉が不利になる可能性があります。
怒りのコントロールに関しては、アンガーマネジメントがおすすめです。
怒りを管理することで、ストレスがかかりがちな価格交渉の場における怒りをコントロールして感情的になることを避けられます。
ノンバーバルコミュニケーションとは、言語以外で行うコミュニケーションのことです。
表情、声のトーン、身振り手振りなどを意識し、相手に好印象を与える方法を指します。
ノンバーバルコミュニケーションを身に着けて自信を持って話せば、相手に信頼感を与えられるでしょう。
価格交渉において取引相手からの信頼は非常に重要になるため、習得をお勧めします。
【ノンバーバルコミュニケーションの一例】
表情:会話に合わせて自然に
声のトーン:ハキハキと話す
身振り手振り:アイコンタクトをとる。手は自然に垂らす。髪の毛を触るなどしない
価格交渉には準備が必要です。
具体的には、以下の準備を行ってから価格交渉に取り掛かります。
価格交渉を有利に進めるためには、まず市場における価格の相場を把握することが重要です。
複数の業者から見積もりを取り、価格、サービス内容、納期などを比較検討しましょう。
なお、相見積もりは、単に価格を比較するだけではありません。
各業者の強みや弱みを把握し、自社にとって最適なサプライヤーを選びましょう。
過去の価格推移を分析することも、効果的な値引き交渉には欠かせません。
市場の動向や価格変動の要因を理解することで、適切な交渉戦略を立てることができます。
価格推移を分析する際には、以下の情報を参考にしましょう。
過去の取引実績: 自社や他社の過去の取引価格を参考に市場価格の変動を把握
経済指標: 物価指数や為替レートなど経済指標の変動が価格に与える影響を分析
業界動向: 業界全体の動向や競合他社の状況を把握
これらの情報を分析することで、価格交渉のタイミングや値引き幅を適切に判断することができます。
値引き交渉を成功させるためには、相手方に納得してもらえるだけの客観的なデータを準備することが重要です。
感情的な訴えではなく、具体的な根拠に基づいた交渉を行うことで、相手方の理解を得やすくなります。
値引き交渉の根拠として有効なデータとしては、以下が挙げられます。
競合他社の価格: 競合他社の価格を提示することで自社の希望価格の妥当性をアピールできる
市場価格: 市場価格を参考に適正な価格水準を提示することができる
過去の取引実績: 過去の取引価格や取引量を提示することで長期的な関係を構築したいという姿勢を示せる
その他: 数量割引、早期発注割引、紹介割引など、値引きの根拠となり得る情報を提示する
これらのデータを効果的に活用することで、相手方を説得し、より良い条件での取引を実現できる可能性が高まります。
価格交渉を成功させるには、適切なタイミングを見計らい、交渉のシナリオを練ることも重要です。
【状況別:交渉のタイミング】
相手方の状況: 相手方の業績や在庫状況、競合他社の動向などを考慮し、値引き交渉に応じやすいタイミングを見極める。
自社の状況: 自社の予算や納期、在庫状況などを考慮し、交渉の緊急度や重要度を判断する
季節要因: 季節やイベントなど、需要の変動が予想される場合は、それに合わせて交渉のタイミングを調整する。
【シナリオを考えるためのポイント】
交渉の目的: 値引き交渉の目的を明確にし、達成したい目標を設定する
交渉相手: 交渉相手の性格や交渉スタイルを事前に把握し、それに合わせたコミュニケーション戦略を立てる
交渉の流れ: 交渉の開始から合意に至るまでの流れを想定し、各段階でどのような発言や提案をするかを検討しましょう
想定される質問と回答: 相手方から想定される質問に対する回答を事前に準備しておきましょう
代替案: 交渉が難航した場合の代替案を準備しておきましょう
価格交渉においては、最初から希望価格を提示するのではなく、複数の交渉案を用意しておくことが重要です。
価格だけでなく、納期、支払い条件、サポート体制など、複数の交渉条件を組み合わせた案を提示することで、柔軟な交渉を可能にします。
複数の案を提示するメリットは、以下のとおりです。
・交渉の幅が広がる: 価格以外の条件も交渉材料にすることで、互いにとってメリットのある合意点を見つけやすくなる
・相手方のニーズを探れる: 複数の案に対する反応を見ることで、相手方のニーズや優先順位を把握できる
・妥協点を見つけやすい: 複数の案の中から、互いに譲歩できるポイントを見つけやすくなる
BATNA(Best Alternative To a Negotiated Agreement バトナ)とは、交渉に関する重要な古典的概念の1つです。
「交渉で合意が成立しない場合の最善の案」との意味があります。
最善の代替案を考えるには、双方が妥結できる交渉範囲の設定が必要です。
この交渉範囲をZOPA(Zone of Possible Agreement)と呼びますが、ZOPAを予測すれば代替案が立てやすくなります。
価格交渉を成功させるためには、価格交渉後の対応も必要です。
良好な関係を築くことはもちろん、交渉後のトラブル防止のためにも丁寧に対応しましょう。
口頭での合意だけではのちに認識のズレが生じ、トラブルに発展する可能性があります。
そのため、交渉内容を必ず書面化し、双方が合意した内容を明確に記録しておくことが重要です。
【書面での合意におけるポイント】
・契約書や覚書の作成: 価格、納期、支払い条件、品質基準、保証内容など、合意したすべての内容を詳細に記載し、署名・捺印を行う
・電子契約の活用: 電子契約サービスを利用することで、書面作成の手間や郵送コストを削減し、契約締結までの時間を短縮する
・確認事項のリスト化: 契約書に記載されていない細かな事項や口頭での約束などもリスト化し、共有することで、後々のトラブルを未然に防ぐ
交渉後は価格交渉が成立したことに対する感謝の気持ちを伝え、良好な関係を継続するためのコミュニケーションを積極的に行いましょう。
【関係維持のためにできる交渉後の対応】
・感謝の連絡: 交渉後、速やかにメールや電話などで感謝の気持ちを伝える。直接会う機会があれば、手土産を持参するのもよい
・定期的な情報交換: 定期的に連絡を取り合い、近況報告や情報交換を行うことで、関係を深める
・顧客満足度調査の実施: 定期的に顧客満足度調査を実施し、取引先からのフィードバックを収集することで、サービス改善に繋げる
・イベントへの招待: 展示会やセミナーなど、自社が主催するイベントに取引先を招待することで、関係強化を図る
価格交渉後には、必ず振り返りを行い、良かった点や改善点などを分析しましょう。
・交渉記録の作成: 交渉の内容、発言、相手の反応などを詳細に記録し、次回の交渉に活かす
・KPT分析: KPT(Keep、Problem、Try)分析などを用いて、良かった点(Keep)、問題点(Problem)、改善策(Try)を整理する
・チームでの共有: 交渉に関わったメンバーと振り返りの内容を共有し、チーム全体のスキルアップに繋げる
価格交渉にはさまざまな準備が必要であるため、通常業務を圧迫してしまうこともあるでしょう。
特に、交渉に必要な情報を引き出したり分析したりする作業は、整理されていない場合かなり負担がかかります。
そこで便利なのが購買管理システムです。
購買管理システムを活用すれば、価格交渉の準備などを効率的に行えます。
購買管理システムは、過去の取引情報や市場価格を一元管理し、簡単に検索・分析できる機能が搭載されています。
過去の取引データなどの価格情報が一元管理されているため、分析も容易です。
【購買管理システムの機能を活用することで可能になること】
・過去の取引情報の活用: 過去の取引価格や数量、納期などの情報をデータベース化し、検索・分析することで、市場価格の変動や自社の購買傾向を把握できる
・市場価格の調査: インターネット上の市場価格データや、業界団体が発表する価格情報を収集・分析し、最新の市場価格を把握できる
・相見積もりの比較: 複数のサプライヤーから取得した見積もりをシステム上で比較し、価格や条件を一覧で確認できる
これらの機能を活用することで、価格交渉に必要な情報を効率的に収集・分析し、根拠に基づいた交渉戦略を立てることができます。
購買管理システムは、過去の取引データや市場価格の分析結果に基づいて、最適な交渉戦略を立案するのに役立ちます。
例えば、以下の設定・作成・管理です。
・目標価格の設定: 過去の取引価格や市場価格を参考に、目標とする価格を設定できます
・交渉シナリオの作成: 交渉の進め方や想定される質問への回答などを事前に準備し、スムーズな交渉を実現できます
・交渉履歴の管理: 交渉の内容や結果を記録し、次回の交渉に活かすことができます
購買管理システムに搭載されたこれらの機能を活用することで、より効果的な交渉戦略を立て、目標とする価格や条件を達成できる可能性が高まります。
購買管理システムを活用すれば、サプライヤー側の作業負担を軽減することが可能です。
自動化やカタログ管理の機能などによって、サプライヤー側の作業負担を軽減して作業コストを抑え、値引きを実現します。
また、自動化は自社スタッフの作業負担軽減にもなるため、実質的なコスト削減に繋げることも可能です。
購買管理システムは、サプライヤー側の作業負担を軽減することで、間接的にコスト削減に貢献します。
コミュニケーションの効率化にも繋がるため、サプライヤーと良好な関係を構築したい場合にもおすすめです。
・自動化: 見積もり依頼、発注、請求書処理などの定型的な業務を自動化することで、サプライヤー側の作業時間を短縮し、人的コストを削減
・カタログ管理: 商品情報や価格情報をシステム上で一元管理し、サプライヤーが簡単にアクセスできるようにすることで、見積もり作成や発注処理にかかる時間を短縮
・情報共有: システム上で在庫状況や納期情報をリアルタイムに共有することで、サプライヤーは発注量や納期を調整しやすくなり、過剰在庫や欠品のリスクを低減
「価格交渉の成功率を上げたい」
「価格交渉の準備にかかる負担を減らしたい」
このようにお考えであれば、購買管理システム「intra-mart Procurement Cloud」がおすすめです。
複数企業への見積依頼の徹底・支出データの蓄積・見えるかによって支出を最適化し、コストを削減して価格の交渉がしやすくなります。
また、さまざまな情報をデータ化して一元管理することで価格情報などが分析しやすくなるほか、業務負担が軽減されるため価格交渉の準備に時間を割けるようになります。
「intra-mart Procurement Cloud」は、スモールスタートで早期導入も可能です。
気になる方は資料をご請求いただくか、お気軽にお問い合わせください。
価格交渉を成功させるためには、希望価格まで無理やり値引きするのではなく、取引相手の立場や状況を考慮したうえでの交渉が重要です。
適切な価格で長期間取引するために、良好な関係を構築できるような価格交渉を行いましょう。
しかし、両者が納得して同意できるような交渉をするには、多くの準備が必要です。
さまざまな情報を収集して分析し、交渉に使えそうな情報を精査する必要がありますが、準備物が多ければ多いほど負担がかかってしまうでしょう。
交渉の準備段階における業務負担を軽減するには、購買管理システムを活用してはいかがでしょうか?
過去の取引や価格情報が一元管理されているため、分析が容易になります。