購買システムのEDI取引ってなに?基礎知識からメリット・デメリットまで解説!

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DXの潮流の中で購買システムと同時に見かけることもある「EDI取引」という言葉ですが、その意味を説明するのはなかなか難しいのではないでしょうか。
実はDXを進めるうえで重要な要素なのですが、まだあまり広まっていません。この記事では、EDI取引の基礎知識と、そのメリットについて解説します。

EDI取引とは?

EDIは、Electronic Data Interchangeの頭文字をとったもので、日本語に翻訳すると電子データ交換という意味です。

電子メールやSNSでのメッセージのやりとりも電子データ交換に該当すると考える方も多いですが、平成元年に通商産業省(現 経済産業省) 電子機械相互運用環境整備委員会が以下のように定義しています。

異なる企業間で、商取引のためのデータを通信回線を介して標準的な規約(可能な限り広く合意された各種規約)を用いて、コンピュータ(端末を含む)間で交換すること

この言葉を簡単な言葉で定義し直すと次の4つの条件を満たす必要があります。

つまり、EDIとは企業と企業の間で行われる商業活動のことで、購買システムなどで電子データの自動交換が用いられている場合にEDI取引と呼ばれます。すなわち、オンラインショッピングでの買い物や電子メールやSNSでのメッセージ交換は、この定義を満たしていないのでEDIとは呼べないということです。

 また、EDIでは以下のようなデータを変換する機能もあります。

1.文字コード変換機能

シフトJISやUnicodeなど扱える文字コードが企業によって異なるため、自社で取り込めるように変換する機能。

2.レイアウト変換機能

「固定長形式」「CSV形式」「XML形式」などのデータ形式を、自社のシステムが理解できるレイアウトに変換する機能。

3.データコード変換機能

企業によって、同一商品でも商品コードが異なる場合、自社のコードに置き換える機能。

日本には約400万社の企業が存在しますが、その1割の約40万社が取引業務をEDI化しているといわれています。

1割という数字を少ないと感じる方も少なくないと思いますが、取引先の数や注文数が多い企業が業務効率化のために導入するケースがほとんどなので、そこまで低い数字ではないと言えるでしょう。

一度導入してしまえば、EDIなしで業務を回すのが難しいと感じるくらい、EDIは利便性の高いシステムです。

EDIとEOSの違い

EDIの中にはEOSというシステムがあります。EOSは、Electronic Ordering Systemの頭文字をとったもので、日本語に訳すと「電子発注システム」という意味になります。

EOSは、EDIの仕組みを利用して、発注に関する業務自動化を行うシステムのことです。スーパーマーケットなどの小売店での発注・仕入れ・請求・支払いの業務を管理することができます。

EDIの種類

EDIには4種類あります。

それぞれについて詳しく解説します。

EDIの種類①個別EDI

個別EDIとは、取引先ごとに通信の形式や識別コード決めることを指します。取引先ごとに、細かく定義されているルールに基づいてEDI取引を行うことが可能です。

ただし、それぞれの取引先に対応した変換システムを準備する必要があるので、EDIのメリットを活かしきれないとも言えるでしょう。そのため、取引先が少ない場合に利用される種類となります。

EDIの種類②標準EDI

標準EDIとは、中立的な機関が設定したEDI取引規約・運用ルール・フォーマット・データ交換形式などを利用する形式のことです。

すでに定義されているEDIを利用することになるので、個別EDIと違い、多くの企業に対応することができます。

EDIの種類③業界VAN(標準EDI)

業界VANは、特定の業界に特化したネットワークサービスのことです。業界共通の商品コードや取引先コードが標準化されているので、標準EDIで必要な商品コードの取り決めや変換作業が不要になります。

業界VANには日用雑貨業界や酒類・加工食品業界、医薬品業界などがあります。

EDIの種類④Web-EDI

Web-EDIとは、インターネット回線を利用して取引するEDIのことです。EDIを利用するときにデメリットとしてあげられるシステム構築の手間がかからないという特性があり、ブラウザ上で簡単に利用できます。

2022年時点では標準化されていないEDIとなるので、導入している企業は多くありません。そのため、導入するときには取引先の利用しているEDIシステムの通信プロトコルがWeb-EDIに対応しているかを確認する必要があります。

Web-EDIで採用されているプロトコルは6種類あります。 

それぞれについての概要を次の表にまとめました。

プロトコルの名称 利用されている業界 概要
EDIINT AS2 販売業、流通業 「Electronic Data Interchange-Internet Integration Applicability Statement 2」の略称で、海外の大手販売業において普及しているプロトコルです。セキュリティでは、電子署名と暗号化が利用されている。
OFTP2 自動車業界 欧州の自動車標準化団体Odetteによって開発されたプロトコルで、「Odette File Transfer Protocol 2」の略称。

日本の自動車業界でも普及しつつあるプロトコル。
ebXML MS 流通業界や日本医療機器ネットワーク協会、産業環境管理業界など 「ebXML Message Service」の略称で、国連のEDI標準機関UN/CEFACTと、Webサービス標準化組織OASISによって策定された国際標準規格のプロトコルです。
JX手順 小売業、流通業 JX手順は従来使われていたJCA手順の後継プロトコルとして誕生した、日本独自のプロトコルです。利用コストが安いので中小企業を中心に利用されています。
SFTP ファイルの送受信ですべての業界で利用されている 「SSH File Transfer Protocol」の略で、SSHによって暗号化した通信路を使って安全にデータを送受信することができます。
全銀協標準通信プロトコル 企業・銀行間で利用 「ベーシック手順」・「TCP/IP手順」・「TCP/IP手順・広域IP網」の3種類が準備されているプロトコルです。全国銀行協会が策定しました。

EDIのメリット

EDIのメリットとしては次の3つが挙げられます。

一つずつ解説します。

メリット①商取引業務の業務効率化

EDIを導入することで、作成した帳票類は電子データでやりとりすることになるので、印刷や郵送にかけていた時間を削減し、業務効率化が期待できます。

また、基幹システムと連携することで、販売管理システムや会計システムの情報を元に帳票作成の自動化も可能となります。

EDIを導入していない場合は、エクセルなどで作成していた請求書を印刷して郵送する必要があります。EDIで書類を電子化することで、ペーパーレスの実現や郵送にかかるコストも削減可能となります。

取引先の数が多ければ多いほど、業務効率化を実感することができるでしょう。

 メリット②業務スピードの向上

EDIで業務効率化が可能になるとメリット①で解説しました。業務効率化が行われると、業務スピードの向上も期待できます。

EDIを導入することで、在庫の確認作業などがリアルタイムでできるようになり、過剰な在庫をかかえるリスクも軽減することができます。また、予想よりも商品が売れている場合にも、迅速に対応することができます。

EDIを導入することで、生産計画、販売計画や在庫計画などの業務を効率化できるようになるでしょう。

メリット③データの信頼度向上

EDIは機械がデータを自動送信するため、人的ミスは発生しません。そのため、データの信頼性の向上が見込めます。

ヒューマンエラーの心配がないのは、現場の担当者はもちろん経営層にとってもメリットがあります。

EDIのデメリット

EDIのデメリットとしては次のことが挙げられます。

それぞれ詳しく解説します。

デメリット①導入にコストがかかる

EDIのデメリットとしては、送受信環境の整備の必要があるということです。

取引先とミスのないデータ交換を行うためには、専用の環境を整える必要があります。銀行間では全銀協標準通信プロトコル、小売業・流通業ではJCA手順などの専用のプロトコルなどを使用する必要があります。

EDI導入には、時間とコストがかかるので、EDI取引をしている企業が少ない場合には、前述したメリットを教授するのが難しくなってしまうでしょう。

デメリット②システムトラブルが発生するリスクがある

EDIに限ったことではないですが、システム導入にはトラブルがつきものです。システム障害や通信エラーが発生したときに、取引先に迷惑をかけてしまう可能性があります。

EDIが利用できない時の回避策やトラブル発生時の対応フローを事前に決めておくことで、もし何か問題が発生したときにも焦らず対応できるようになります。

まとめ

本記事では、EDIの基本知識やメリット・デメリットについて解説しました。

intra-mart Procurement Cloudは調達・購買管理機能を備え取引の電子化が可能であり、手軽ながらEDIと同様のメリットを享受できます。

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