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売上の最適化を目指す「CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)」と同様に、支出に特化した「ビジネス・スペンド・マネジメント(BSM:Business Spend Management)」(以下、BSM)についても近年大変注目を集めています。
業績悪化や収益減少に直面する多くの企業にとって、無駄な支出を省き、迅速に経営を立て直すことは喫緊の課題となっているためです。
ビジネス・スペンド・マネジメントは、企業の支出を管理・適正化し、投資の効率化、最大化を目指す経営管理手法です。
特に間接材(主に一般販売管理費に含まれる勘定科目)で、欧米をはじめとした多くのグローバル企業が積極的なビジネス・スペンド・マネジメントの活用によって結果を出しています。
企業が経営資源を最大限に活用するためには、支出を透明にし、正確に状況を把握することが非常に重要です。
これはすべての組織にとって最優先の課題です。支出データを詳細かつ正確に把握することによって、支出の最適化(投資効果の最大化、コスト削減等)につなげることができます。
購買担当者の経験や勘といった属人性にとらわれず、部署ごと、費目ごとの支出状況を誰がいつ見てもデータで確認できる状況にすることは、コスト削減の最初の一歩です。
調達プロセスにおいて外部の利害関係者(サプライヤー、ベンダー、外部パートナーなど)との関係を管理する必要があります。
その主な目的は、最適なコスト、品質、納期、およびサービスを提供するサプライヤーを選択・評価・管理し、長期的な相互利益に基づく関係を構築することです。
サプライヤーマネジメントの重要な要素には、次のようなものがあります。
・サプライヤーの選定方法と評価基準の策定
・契約交渉と契約管理
・サプライヤーとのコミュニケーション
・サプライヤーのパフォーマンス評価とフィードバック
・リスク管理
支出削減に関して、重要なポイントは複数のサプライヤーから相見積りを取り、適正な価格交渉を行うことです。
この方法によって、過去に支払い過ぎていた支出に気づくことができ、その積み重ねが大きなコスト削減につながります。
この時ぜひ並行して取り組んでいただきたいのが、同業他社との比較です。
他社と自社を比べ、費目ごとの使用量や単価の違いを見ることによって、コスト削減余地や適正な市場価格を把握することができます。
サプライヤーマネジメントの業務は、効率的な調達戦略の構築やサプライヤーとの良好な関係を築くために、以下の手順に沿って行われます。
まず、企業は発注基本方針を策定します。この基本方針には、サプライヤーの育成や選定方針が明確に記載され、中期調達計画に組み込まれます。
次に、主要部品や原材料の品目別発注方針を定めます。この際、1社特命発注か複数社発注かを明確にし、発注金額や期間などの骨子も設定します。
自社の開発動向やサプライヤー業界動向を把握し、それを発注方針に反映させます。これにより、ニーズに合わせた発注方針を策定することが可能です。
さらに、内外製判定やサプライヤー情報の把握を行い、発注方針に適切に反映させます。これにより、品質や供給リスクなどの要素を考慮した発注が可能になります。
その他、多角的な発注方針の運用やアライアンス戦略の検討、新規サプライヤーの開拓なども行われます。これにより、サプライヤーの多様化や部品発注形態の高度化が推進されます。
最後に、経営層への報告や発注方針の評価、サプライヤー評価の実施なども行われます。
これらの活動を通じて、効果的なサプライヤーマネジメントが実現され、企業の調達戦略の最適化が図られます。
特に慣習で購買を続けていて、定期的に見直す機会を設けられていない企業は、この機会にぜひ取り組んでいただきたいと思います。
(参考)サプライヤーマネジメントの要業績評価指標(KPI)
発注方針カバー率
特定の期間内に発注方針で定められた指標や目標を実際に達成した割合を示します。発注方針は調達活動の方針や目標を明確に定めたものであり、この指標はそれらの達成度を把握するのに役立ちます。
業界動向分析実施率
特定の期間内に調達部門が業界動向を分析した割合を示します。業界動向分析は、市場の変化やトレンドを把握し、調達戦略の策定や意思決定に役立つ重要な活動です。
サプライヤー情報整備率
特定の期間内に調達部門がサプライヤー情報を整備した割合を示します。サプライヤー情報の整備は、サプライヤーの評価や選定、管理に必要な基盤を整えることであり、効果的なサプライヤー管理のために重要です。
サプライヤー訪問実施回数
特定の期間内に調達部門がサプライヤーを訪問した回数を示します。サプライヤー訪問は、関係の強化や情報収集、課題の把握などを目的として行われる重要な活動です。
訪問対象サプライヤー数
特定の期間内に調達部門が訪問したサプライヤーの数を示します。訪問対象サプライヤー数は、調達部門がどれだけ広範囲のサプライヤーとコミュニケーションを取っているかを示す指標です。
サプライヤー訪問カバー率
特定の期間内に調達部門が訪問したサプライヤーの割合を示します。訪問対象サプライヤー数と比較して、実際に訪問したサプライヤーの割合を把握することで、訪問の効率性やカバレッジを評価するのに役立ちます。
新規サプライヤー情報収集数
特定の期間内に調達部門が新規サプライヤーの情報を収集した数を示します。新規サプライヤーの発掘や情報収集は、新たなビジネス機会の発見やサプライヤーベースの多様化に役立つ重要な活動です。
新規サプライヤー接触数
特定の期間内に調達部門が新規サプライヤーと接触した回数を示します。新規サプライヤーとのコミュニケーションは、ビジネス関係の構築や取引の開始に向けた重要なステップです。
新規サプライヤー見積取得数
特定の期間内に調達部門が新規サプライヤーから見積もりを取得した数を示します。新規サプライヤーとの見積もり取得は、新たな調達先の選定や価格比較のための重要な活動です。
新規サプライヤー開拓数
特定の期間内に調達部門が新規サプライヤーを開拓した数を示します。新規サプライヤーの開拓は、サプライヤーベースの拡大やリスク分散に貢献する重要な活動です。
新規サプライヤー比率
特定の期間内に新規サプライヤーからの取引の割合を示します。新規サプライヤー比率が高いほど、サプライヤーベースの多様性や競争力の向上が期待されます。
海外発注比率(品目、金額)
特定の期間内に調達部門が海外から発注した品目や金額の割合を示します。海外発注比率が高い場合、国際市場での調達活動の拡大やグローバルサプライヤーとの関係強化が進んでいることを示すことができます。
工程外注増減(品目、金額、発注件数ベース)
特定の期間内に調達部門が工程外注を増減させた品目や金額、発注件数の変化を示します。工程外注の増減は、製造プロセスの最適化やコスト削減のために行われる重要な活動であり、この指標はその変化を把握するのに役立ちます。
ユニット発注増減(品目、金額、発注件数ベース)
特定の期間内に調達部門がユニット発注を増減させた品目や金額、発注件数の変化を示します。ユニット発注の増減は、調達効率の改善や原価削減のために行われる重要な活動であり、この指標はその変化を把握するのに役立ちます。
サプライヤー評価実施率
特定の期間内に調達部門がサプライヤーを評価した割合を示します。サプライヤー評価は、サプライヤーのパフォーマンスやリスクを把握し、取引関係の改善や維持に役立つ重要な活動です。
サプライヤー評価結果通知率
特定の期間内に調達部門がサプライヤーに評価結果を通知した割合を示します。サプライヤーへの評価結果の通知は、透明性や信頼関係の構築に貢献する重要な活動です。
サプライヤー改善勧告率
特定の期間内に調達部門がサプライヤーに改善を勧告した割合を示します。サプライヤー改善勧告は、サプライヤーのパフォーマンス向上や品質管理の改善に向けて提案される重要な活動です。
サプライヤー評価向上率
特定の期間内にサプライヤーの評価が向上した割合を示します。サプライヤーの評価向上は、品質や納期の改善、コスト削減などの効果をもたらします。
優良サプライヤー率
特定の期間内に調達先サプライヤーのうち、優良と評価されたサプライヤーの割合を示します。優良サプライヤー率の向上は、安定した供給や高品質な製品の確保に寄与します。
調達部門が実施するユーザーマネジメントは、組織内の調達プロセスにおける関係者との合意形成です。
主な目的は、組織内で調達の需要と供給を最適に統合し、資源を効果的に利用するために、コミュニケーション、協力、および調整を促進することです。
ユーザーマネジメントにおける具体的な活動は以下の通りです。
需要予測と需要管理
調達部門は、組織内の需要を予測し、適切な調達計画を策定します。
過去のデータや市場動向を分析し、需要の変動やトレンドを把握することで、資源の適切な配分を行います。
調達要件の定義と合意
調達部門は、関係者と協力して調達要件を明確に定義し、合意形成を図ります。
調達する製品やサービスの仕様や条件を明確にし、供給業者との契約や取引条件を確定させることで、調達プロセスの円滑な進行を支援します。
サービスレベルの管理
調達部門は、供給業者とのサービスレベル契約を管理し、品質や納期などの重要な指標を監視します。定期的な品質評価や納期管理を通じて、供給業者との関係を維持し、サービスの品質を確保します。
コスト効率の向上
調達部門は、組織内で無駄に使いすぎているコストがないかを確認し、必要な分だけ調達するように内部で働きかけます。
効率的な調達プロセスを構築し、組織全体のコスト削減に貢献します。
これらの活動を通じて、調達部門は組織内の調達プロセスを最適化し、利害関係者との協力関係を築きながら、組織全体の効率性と競争力を向上させることが期待されます。
一般的に、企業のコストは大きく2種類に分けられます。
①商品を製造する際の原材料や部品、工場での製造コストといった、売上や利益に直結する「直接材」と、
②光熱費や通信費、広告宣伝費など直接材以外のコスト全般を指す「間接材」です。
企業にとって大きな支出となる直接材や設備投資費、研究開発費、人件費は、企業が主体的に予算を組み立てる費用ですから、コストの見える化や、投資対効果の評価体制ができている企業が多いように思います。
一方で、事務用品費や設備管理費、通信費などの間接材に関しては、「コストの見える化」すらできていない企業がほとんどです。
その背景には、
①間接材調達を専門で扱う部署がなく、個人や部署ごとで調達を行ったり、調達担当者の経験や直感的な判断に頼って購買することが多いこと、
②間接材費目が多種多様で細分化されていること、
③同じ企業内でも事業部やエリア、また子会社・関連会社ごとに発注・請求が統一されていないこと
などが考えられます。
経理データ処理段階で勘定科目名とその支払金額を管理している企業は多いと思いますが、
「どのような仕様/条件で」
「単価がいくらのものを」
「どれだけ購入したのか(量)」
を詳細かつ一元的に管理し、すぐにデータで出力できる企業は、残念ながらほとんどありません。
実際に、多くの企業の財務責任者が、間接材費目への支出状況を正確に把握できていないことを課題として挙げています。
しかしながら、平均して企業売上の 6%から8%ほどを間接材コストが占めており、売上が一兆円の企業であれば、間接材コストは600億円から800億円にも上ります。
そのため、これまで払いすぎていた間接材の支出を必要な項目に絞り込むことができれば、大幅な収益率改善を見込める可能性が極めて高いのです。
ビジネス・スペンド・マネジメント:BSMはいわば企業の健康状況を逐一見守るリアルタイム健康診断システムであり、企業の健全な成長に欠かせない存在です。
ビジネス・スペンド・マネジメント:BSMを導入し、見える化した支出データを活用して戦略的に投資できている企業は非常に競争力が高まっています。
まだまだ日本では新しい概念であるビジネス・スペンド・マネジメント:BSM(Business Spend Management)ですが、早いタイミングで取り組むことが企業経営にとって重要な戦略になると考えます。
【intra-mart Procurement Cloudとは】
間接材コストを対象としたBSM(Business Spend Management)が重要な経営指標として注目される中、intra-mart Procurement Cloudは企業の最適な支出を実現するため、以下のサービスをオールインワンで活用でき、Smart Spend(賢い支出管理)の実現が可能なクラウドサービスです。
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